木村L　(真)

　木村について語ります。

　さて、彼女は男性を資源のように取り扱う非情さを持ち合わせています。ただし、これは自らの性別を切り売りした結果ではなく、学びの果てにたどり着いた結論でした。

　多様性を謳う現代に、母性や父性の役割分担は形骸ですが、女性は男性の威厳や畏れまでは体現できず、男性は出産ができません。時代が性別を再定義しても、女と男の両方の材料が揃わなければ子供は産まれません。

　この相反する二要素から命が始まります。ところが、木村の家庭では片方が欠落しておりました。すると、男性との接点は外界に限られました。彼らとの交際は木村の世界に新鮮な空気を吹き込ませる、蓄積された経験です。

　数多くの付き合いを経て学びの段階から逸した頃、一通り成熟した彼女には少し早い黄昏が訪れました。

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