魔族の彼女はダメなスパイ

｢人魔戦争、真っ只中。
だけどこのスパイ、報告内容が“どうでもいい”｣

魔王直属のスパイ⎯⎯その肩書きは、かっこいい。
でも、ルナの任務はちょっと変わっている。

彼女が送る極秘情報は、戦争の鍵を握る機密情報⋯⋯
ではなく、
『小学校の給食が二日連続でプリンだった』
『パン屋の娘が向かいの花屋に恋してる』
『少年が鉄棒で逆上がりできるまでの記録』
そんなものばかり。

しかも、全力で調査して、きっちりまとめて魔王へ報告。
⎯⎯結果、魔王が毎朝クスッと笑うだけ。
任務の意識ゼロ、緊張感ゼロ、でも観察力はやたら高い。
これは、極秘なのに役に立たないスパイ・ルナの、
戦争中とは思えない、どうでもいい毎日。

世界が戦っている？　そんなことより唐揚げがうますぎる。

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