これは、“私”という舞台に立ち続けるジレンマだ
- ★★★ Excellent!!!
同じように、ちょっとだけクリエイティブ(っぽい)青春を過ごした身としては、読んでいて何度も「あー、こういう気持ちってあるな」と共感しながらも、ちょっと恥ずかしくなった。
あの頃の自分を直視させられるような、そんな感覚。
本作は演劇がテーマなんだけど、それ以上に、自分の中の“どうしようもなさ”とか、“めんどくさい自意識”と向き合う話だと思う。
「努力してこなかった自分」とか、「何者かになりたかったのに、なれなかった自分」とか。
そういう自分を自分で責めて、それでも「まだ諦めたくない」って思ってしまう感じ。
分かる。痛いほど分かる。
というか、こっちの方が痛い。
でもそれを、ちょっとおかしみを交えて語ってくれるから、読んでてしんどくならない。
むしろ、この子のグルグルした思考を、顔を覆った指の隙間からのぞき続けたくなる。
あの頃の複雑な頭の中を、こんなふうに言葉にできるなんて……正直、羨ましい。
終盤の“走るシーン”も、カタルシスというより「わけも分からず走っちゃった」っていう軽さがあって、だからこそリアルだった。
ちょっと笑ってしまったけど、それでもこの子が前を向こうとしてる感じが伝わってきて、最後までちゃんと好感を持てた。
たぶんこれ、演劇の話というより、「自分の中の役割をどうやって引き受けるか」って話なんじゃないかな。
読み終えて、少しだけ、自分の情けなさにも優しくなれそうな気がした。