記憶喪失の幽霊の少女と、不器用なモテ男子の切なく優しい恋のお話です。
もしも、記憶を全て失ってしまったら?
自分が誰かも思い出せないのに、恋心だけは残ってて。
とてもロマンチックな展開ですね。
でも普通なら、それが恐ろしくて、唯一の記憶である彼に執着してしまうかもしれません。
けれど、主人公はとても明るく素敵な女の子でした。
幽霊と、生身の人間。
死んだ者と生きている者。
それはとてもとても大きな壁。
思いが通ったとしても、決して結ばれない。
なんて切ないんでしょう。
哀しい恋は読みたくない?
いいえ、これは哀しい恋ではありません。
それではなあに?
さぁ?それは私からは何も……
この物語を読んで感じることは人それぞれでしょうからね。
だから、ほらあなたも読んでみればよいのです。
きっと、二人が織りなすこの恋物語に夢中になるはずですよ。
交通事故に遭ってしまった主人公が次に目を覚ますと、なんと幽霊になっていた。それもなぜか、好きだった彼にだけは自分のことを感じられる幽霊。生前の自分のことは何一つ思い出せないのに、彼のことだけははっきりと覚えているようで……。
非現実感のあるドラマチックな始まりで、不幸だけど、ちょっと幸せ?
みたいな主人公の状況が魅力的でした。
持ち前の天真爛漫さで、徐々に打ち解けていくのは一方的に好きだった彼。
必死に縋っていることは痛いほどわかるのですが、主人公のコミカルでギャグな行動が面白いです。
普段ならばドキドキして話かけることもできない相手。絶対にこんなことはできないけれど……。
背中を突き飛ばすくらい強烈な幽霊のシチュエーションのおかげで、彼へ砕けてアタックできることの良さが詰まっていました。
幽霊だからこそできる場面と、幽霊だからできない場面の違いも好きでした。
魂は肉体に宿るのか、精神に宿るのか。
みたいなことも考えられる、人間ドラマとしての側面も。
幽霊になった私が、憧れの彼と何をするのか。
是非、お楽しみください。
素晴らしい作品をありがとうございました。