月下美人

頑田むぅ

月下美人

 月明かり 着流きながしにび まちおよ

  不意ふい出会であり 月下げっか乙女おとめ


 再会さいかいに むねおどりぬ 夜半よわの月

  微笑ほほえむ君へ われけ出せり


 提灯ちょうちんの 影絵かげえに笑 君の声

  手を取りあて 月をながむる


 僧正そうじょうに び止められし 青きわれ

  くるしければ 耳に入らず


 白壁しらかべの 町は夜更よふけて かの乙女

  会に来るなと われをこばみぬ


 廃屋はいおくの くらやみにて なげく君

  こばみしかほに さびしさおぼゆ


 中庭なかにわに 月明つきあかりして らさるる

  白くきたる 月下げっかの美人


 白き花 その根元ねもとには 髑髏しゃれかうべ

  真珠しんじゅの色に 君泣きれる


 ひろいあげ くちづけをせり そのひたい

  さくらの色の 君と目が


 月明かり 花ののなか まどろみて

  肩をせあ ともにねむれり

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月下美人 頑田むぅ @gndmu

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