茜旅シリーズ、今回は金沢が舞台です!
いつもは休日にふらりと旅に出る茜さん、今回は目的があって金沢に来た模様。
それは尾山神社に向かい、「夏越大祓式」(なごしのおおはらえしき)に参加し、穢れを祓うこと!
というのも、しばらく前から彼女は運気に見放されている状態だったのです。
のんびりと旅をするいつもの茜さんとは一味違います。
真摯な気持ちで儀式に取り組むその姿に、自分もシャキッとせねば、と背筋を正される思いでした。
しかしながら、それだけが茜さんの旅ではありません。
彼女は「ミッション・インポッシブル」を敢行するのです!
果たして、任務は無事成功なるか!?
そして、彼女の運気やいかに……!
任務の内容・その結果は是非ともご一読のほど、お確かめ下さいませ!
す、素晴らしかった……
読み終えて最初に出てくるのは、とにかくその感想でした。
最近どうも「ツイテない」状態にある茜。彼女はそんな日常を脱却するべく、石川県の金沢への旅行へ出ることを決意する。
その先での旅の内容がもう楽しいこと楽しいこと。
まず、「あえて商業施設に入る」というところが旅センス抜群でした。旅というと「有名な観光名所と旅館を行き来」というイメージがあるかと思いますが、茜は更に踏み込んだ楽しみ方を知っています。
地元の人にとっての「プチ非日常」となっている施設。そこは自分の生活圏にない変わったお店などがあり、ぶらぶらと見ているだけでも目を惹かれるものがたくさんある。
そこにしか売っていないような商品も見つかるかもしれないし、まさに「出会いの宝庫」と呼べる空間。
その後は「夏越大祓」という利家とまつが祀られている場所へ行き、観光地での「特別な時間」もしっかり満喫。ついでに厄払いも済ませます。
食事もとっても美味しそう。昼食のラーメン、そして夕食に出てくるタルタルたっぷりの白身魚フライや串カツ、お刺身など。
その描写がまた最高で、目の前に料理が並んでいるような臨場感に満ち満ちています。これ、絶対に食べたら美味しいだろうな、と確信させられます。
もし、金沢に旅行に行く時があるとすれば、この小説の内容を参考にすると、更に充実した経験を得られるに違いありません。
自分もこんな旅をしてみたい。こんな幸福感を味わってみたい。読者をそんな満たされた気持ちにしてくれる、幸せいっぱいな作品でした。
内山 茜25歳。最近彼女はツイてない。
鳥フン落とされ、水をはねられ、アップルウォッチを破損する。
うーん、コレは確かにツイてない……
穢れを祓うため、東京から金沢へ。
趣味の一人旅が今回のテーマとなっている本作。
気ままな一人旅の追体験ができる短編形式だからスキマ時間に楽しめます。
飯テロあり、ポケモンあり……ミッションインポッシブルあり?
だんだん何を書いているのかわからなくなってきましたが、穢れを祓う一人旅って中々味わえない作風だと思うんです。
帰りの時間ギリッギリまで楽しめるのは一人だからこそ出来る魅力かな、クリーンになったらツイてないから解放される、そんな微笑ましい結びが印象的な紀行譚です。