こんな旅がしてみたい、と心から思う! これぞ幸せな時間のハンドブック!

 す、素晴らしかった……
 読み終えて最初に出てくるのは、とにかくその感想でした。

 最近どうも「ツイテない」状態にある茜。彼女はそんな日常を脱却するべく、石川県の金沢への旅行へ出ることを決意する。

 その先での旅の内容がもう楽しいこと楽しいこと。

 まず、「あえて商業施設に入る」というところが旅センス抜群でした。旅というと「有名な観光名所と旅館を行き来」というイメージがあるかと思いますが、茜は更に踏み込んだ楽しみ方を知っています。

 地元の人にとっての「プチ非日常」となっている施設。そこは自分の生活圏にない変わったお店などがあり、ぶらぶらと見ているだけでも目を惹かれるものがたくさんある。
 そこにしか売っていないような商品も見つかるかもしれないし、まさに「出会いの宝庫」と呼べる空間。

 その後は「夏越大祓」という利家とまつが祀られている場所へ行き、観光地での「特別な時間」もしっかり満喫。ついでに厄払いも済ませます。

 食事もとっても美味しそう。昼食のラーメン、そして夕食に出てくるタルタルたっぷりの白身魚フライや串カツ、お刺身など。

 その描写がまた最高で、目の前に料理が並んでいるような臨場感に満ち満ちています。これ、絶対に食べたら美味しいだろうな、と確信させられます。

 もし、金沢に旅行に行く時があるとすれば、この小説の内容を参考にすると、更に充実した経験を得られるに違いありません。

 自分もこんな旅をしてみたい。こんな幸福感を味わってみたい。読者をそんな満たされた気持ちにしてくれる、幸せいっぱいな作品でした。

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