雨の日は憂鬱なもの? 本当は、そこにしかない楽しいこともあるのかも?
- ★★★ Excellent!!!
「これ、いいな!」、「この話、好きだな!」
自然とそんな感想が浮かんでくる。そういう素敵な小説です。
ユウキは窓から外の様子を見る。雨が降っていて憂鬱。明日は児童会長として、サツマイモの苗つけのイベントで挨拶をする予定もある。
雨がやまないのが不安。そんな風に感じていた。
そこで、彼の前に不思議な存在が現れる。
雨降小僧という名の存在は、ユウキと一緒に遊ぼうと、雨の降る外へと呼び出す。
どんどん雨を降らし、屋根の上でウォータースライダーみたいなものを作り出し、楽しい時間を過ごそうとする。
この段階で、一つ気づかされるものがあります。
子供にとっては、じゃんじゃん降る雨というのは、実は心が湧きたつものなんじゃないか。プールみたいに遊ぶことだって出来るし、雨に打たれれば気持ち良いこともあるかもしれない。
そんな子供の感性をいつしか忘れてしまっていた。雨降小僧の姿を見て、そんな事実に気付かされます。
「無邪気な存在」というものを通し、「雨」や「天気」というものについて見つめ返したくなりました。ラストも爽やかなもので、良いものを読んだ、と強く感じさせられる作品でした。