第7話 現場調査
ということで閉店後。
「おじゃまします」
例のお客様のお宅訪問をすることになりました。
メンバーはムーンとクロエ、そして…
「あの…この小人は…?」
「小人の精霊ひとまず今日はコロポです。ひとまず調査は彼にお願いしようかと…」
「よろしゅうお嬢さん。」
そういうと私の手のひらに移動した小人のおじいさんコロポは、依頼主に握手を求めるため、手を伸ばし、お客様も指を出して握手をしました。
「今、例の音はしてますか?」
「いいえ…いつも音がするのは夜なので。」
となると、音の聞こえる部屋に行っても手掛かり話か…
ならさっそく中見てもらった方がいいかな。
「お客様、さっそく床下の調査をしますので、例の穴の開いてるという床がある部屋に案内してもらえますか?」
「こちらです。」
「すごーい、ログハウスだー!」
「ログハウスって、中こうなってんだな」
「床に穴が開いている個所があるとのことで、そこから彼を投入して何かいないか調査させます。」
「それで…もし何かいたら…どうするのですか?」
「もしネズミがいるようでしたら、このままムーンに食べさせます」
「勝手に決めんな。おいらにもスキキライある。」
「おだまり。」
反論するムーンの口を片手でつかんで閉じます。
別にほんとに食べるかどうかは重要じゃないのです。
お客様に、小動物なら駆除対象ということが伝わればそれでいいのです。
「でも、もしほんとにお化けだったら…」
「コロポにお化けが見えるかどうかによりますが…もし見えそうで会話可能そうならまずは説得を、難しそうなら属性を確認したうえでまたお話ししましょう」
「でも、そうなるとまたお店に戻らないと…二度手間では?」
「ご心配なく。転送チップを持ってますので。」
「転送チップ…ですか?」
私はその転送チップをお客様に見せると、安心させるように笑顔を向けます。
この世界では精霊しか魔法は使えませんが、人間にも魔法を使う方法がいくつか存在します。
そのうちの一つは、精霊と契約して魔法を使ってもらうように頼むこと。
もう一つは、チップを作ること。
このチップ、精霊さえいれば作るのは難しくありません。
まずは魔法アイテムにしたいものに、使いたい魔法の魔方陣を書きます。
その魔方陣の中央は何も書かれていない空白の円があるので、その縁の中心に、精霊の手形足形をつけてもらいます。
このアイテムさえあれば、誰にでも簡単に魔法を使うことができるのです。
そして空間移動能力を持つ精霊に作ってもらったチップこそ、転送チップなのです。
「でも、なぜレンタルショップで、このようなアイテムの制作をしたのですか?」
「期間後返却しない人とかいるしねぇ~危険な目に合わないような措置なのぉ~」
このチップがあれば、離れた距離にいても、他のチップを持っている人の場所絵瞬間移動ができるというわけです。
契約違反者が出た場合、精霊を緊急保護するために、このチップを一人一枚配っているのだけれど…今回は仕事で使います。
「コロポ、じゃあさっそく、床下何かいないか見てくれない?」
「承ろう。行ってまいるぞよ」
そういうと、コロポは穴の中に消えていきました。
精霊レンタルキャラバン -転生して貴族令嬢になったのに、不幸体質はいらないと追放されたので、旅をしながらレンタル業という名の何でも屋をやって毎日充実しています- つきがし ちの @snowoman
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