概要
「心中姫の舞台で王子と姫を演じたカップルは、いずれ結ばれる」――
そんな噂があった。
しかし昨年……その劇が演じられる学園祭の朝、女性教師と男子生徒が遺体で発見される。
事件は心中として処理されたが、それは幕開けにすぎなかった。
制服の裏取引、教員の不審な失踪。
学園全体に、不穏な影が静かに広がっていく。
それから一年後。
教員不足を理由に、臨時採用された新人教師・辻村。
だがその赴任先には、かつて心中未遂をともにした元恋人――野々宮が在籍していた。
再会を果たした二人は、封じたはずの過去と向き合いながら、
やがて学園の深い闇に足を踏み入れていく。
現代ドラマと学園ミステリーが交錯する、切なくも危ういサスペンス。
※ややBLシーンあり
辻村 琥太郎《つじむら こた
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- ★★★ Excellent!!!脚本を書いた意図が暴かれるとき、ドラマとなる
幾つもの脚本が現れます。舞台劇の脚本。高校で発生した事件へ釈明するための脚本。事件を解明するために潜入する人物が身分を偽るための脚本。そして殺人事件を起こす脚本と事件を隠す脚本。
脚本です。意図を持って書かれました。脚本と意図の両方を暴くのが事件捜査でありミステリー小説です。本作は推理ガチ勢には応えられないかもしれませんが違う点に主眼があります。
一つ、また一つ、謎が解ける度に広がる驚くべき光景と立ち上がる新たな謎。見える景色は、滑稽で、哀れで、悲しくて。
人とは如何なるものなのでしょう。見る角度によって全く別の姿が見えてきます。
ただ、一貫する主題があります。人は幸せを来世に託すこ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!ジンクスのある学園で起こった事件の謎に、先生探偵コンビが挑む!
ある学校で受け継がれている、『心中姫』という演劇。
その劇でカップルを演じた二人は結ばれるというジンクスがあったのですが……。
学園祭の日に、本当に心中事件が起きてしまったのです。しかも先生と生徒の。
これだけでもショッキングなのに、その後学校では次々と良くない事が立て続けに起きていって、先生も生徒も苦しい思いをしていました。
そんな学校内で起こっている事件を解決するべく呼ばれたのは、臨時教師の辻村琥太郎先生。
実は彼、先生というのは仮の姿。正体は探偵で、事件を捜査するために学校に来たのでした。
そしてそんな辻村先生とバディを組むのは、元々学校にいた3年生の学年主任、野々宮陸先生。
辻村先…続きを読む - ★★★ Excellent!!!悲しき事件の傷跡残る学園で、事件の真相に挑め。
とある高校の学園祭で、何年も前かずっと演じられていた、『心中姫』という劇がありました。
タイトルからして悲恋の予感たっぷりですが、いつしかすっかりその学校の伝統に。劇のメイン二人を演じた人たちは結ばれるなんて噂までありました。
ですが去年は、演じられることなく終わってしまう。というより、学園祭そのものが中止になったのです。その理由は、劇が演じられる日の朝、先生と生徒が遺体で発見されたから。
事件は二人の心中として片付けられ、それから一年。
表向きは平穏を取り戻しながらも、どこか事件の傷跡が残っていそうな学園にやってきた新任教師の辻村と三年の学年主任の野々宮は、共に事件の真相を探ることに。
…続きを読む - ★★★ Excellent!!!ちょっと大人な学園ミステリー!
ある高校で伝統的に演じられている劇があった。それを演じたカップルは本当に結ばれるのだという。
が、去年の学園祭で事件は起きた。警察は心中事件として片付けたが、真相は──?
という所から始まる学園ミステリーですね。
事件の真相を追うために雇われた本業探偵の臨時教師辻村と、彼と昔に色々ありそうな学園教師野々村を軸にお話は進んでいきます。
メインの二人が大人なので、ちょっと大人な雰囲気の漂う学園ミステリーになっています。
二人の過去も気になっちゃいますね。
辻村は全身にタトゥーが入っていたり、振る舞いやなんやかんやも全く教師らしくないのですが、彼は本業が探偵ですからね。致し方ない。
片や…続きを読む