サッカー少年たちの軽妙な掛け合いがクセになる

サッカー部の少年少女たちが、館から脱出するために謎解きへと挑みます。

序盤はミステリーの要素が少なく、スポーツ青春ものになっているので、面食らってしまうかもしれません。
しかしそれも、キャラクターを丁寧に立てていくためです。
一人ひとりが、リアリティを持って描かれており、会話の節々に家柄や性格などがにじみ出ています。
9人もメインキャラがいるのに、どのキャラクターも魅力的。彼らの軽妙な掛け合いに、いつの間にか虜にされていました。

もちろん、中盤からの謎解きの面白さもしっかりあります。
活躍するのは教養のある久藤がメインになりますが、他のキャラもそれぞれに得意分野があり、ひらめきを与えてくれています。
主人公の新羽は精神面でメンバーの支えになっています。

本作は序盤で「ジャンル違いだ」と思わずに、ぜひとも最後まで読んでください。
キャラクターにリアリティがあるからこそ、日常から逸れた冒険に胸を躍らされるのです。