とある洋館に閉じ込められた主人公たちが、友情と発想を武器に悪意に抗っていくミステリー作品です。
主人公たちは、とある学校のサッカー部。
ある日、部員の一人が探していたネコを追いかけ、無人の洋館に迷い込んでしまいます。
不意に声をかけてきたのは、亡くなった館の主人の息子を名乗る人物。
無人であるはずの館には、彼の友人を名乗るガラの悪い連中が数人。
不審に思う主人公たちでしたが、ネコは見つからずじまいで外は大雨。
男の提案もあって、一晩泊めてもらうことを決定します。
しかし、夜も進んだ頃、男は本性を現して⋯
主人公たちは、無事に館から脱出できるのか。そして、男たちはいったい何者なのか。
ぜひ読んでみてください。
サッカー部の少年少女たちが、館から脱出するために謎解きへと挑みます。
序盤はミステリーの要素が少なく、スポーツ青春ものになっているので、面食らってしまうかもしれません。
しかしそれも、キャラクターを丁寧に立てていくためです。
一人ひとりが、リアリティを持って描かれており、会話の節々に家柄や性格などがにじみ出ています。
9人もメインキャラがいるのに、どのキャラクターも魅力的。彼らの軽妙な掛け合いに、いつの間にか虜にされていました。
もちろん、中盤からの謎解きの面白さもしっかりあります。
活躍するのは教養のある久藤がメインになりますが、他のキャラもそれぞれに得意分野があり、ひらめきを与えてくれています。
主人公の新羽は精神面でメンバーの支えになっています。
本作は序盤で「ジャンル違いだ」と思わずに、ぜひとも最後まで読んでください。
キャラクターにリアリティがあるからこそ、日常から逸れた冒険に胸を躍らされるのです。