宇宙は神秘的でヤバイ系Vtuber!

国久野 朔

第1話 宇宙ヤバイ。ヤバくない?

「はーい、みなさんこんナビー。宇宙の神秘系Vtuberの、ネビュラ・ナヴィでーす」


 みなさんこんにちはー。相棒ポジションのステラでーす。


 ナヴィさんの衣装いいですねー。朝焼けから宵闇に変わるようなグラデーションに、青い髪にピンクのメッシュ。かわいいですよー。


「わー、ありがとうステラ君! ステラくんは金髪のボーイッシュなショートカットが素敵ですよー。服装は……なんの変哲もないパーカーですねー。素敵ですよー」


 あんまり褒められてる気はしないですねー。


「はい! このチャンネルではー、いかに宇宙がヤバイかを皆さんにお伝えしていきたいと思いまーす」


 わーぱちぱちぱち。あんま話聞いてくれない感じですねー。

 さていまは午後8時ですねー。みなさん、よろしくでーす。それじゃーナヴィさん、お願いしまーす。


「はいほーい。それではまず皆さんに残念なお知らせがあります。みなさんはそのうち死にます」


 不穏っ!? そりゃ、人間だからそのうち死ぬでしょうよ。どういうこと?


「それはぁ……。あ、まずみんなー上を見あげてみてー」


 天井しか見えないね。今ボク達室内だからね。


「はい、そうです! 太陽がSunSunですねー!」


 これはやかましいわ! って言っとく。みんなの代わりにね。あと全然太陽見えないよ。夜だしね。室内だしね。


「なんと、そろそろ太陽君が寿命を迎えマース。えーっ!!??」


 ほんとに人の話聞いてないですね。それに、なんで自分で驚いてるんですか? まぁ、太陽が寿命を迎えたら困りますけど。


「そうでしょ? 太陽くんが赤色巨星に進化して、地球を呑み込んでしまうんです! たいようは せきしょく きょせいに しんか したぞ」


 えっ。それはいよいよヤバイですね。それはいつ頃起きるんですか? 後半はツッコみませんよ。


「そうですね。だいたい50億年後ですね」


 ……ごっ、じゅうおくねんご?


「どうしましょう? もはや霊体となって人類の行く末を見守るしかなさそうですね」


 いやいや、アルさん。50億年後なんて、ぼくたちは生きちゃいないですよ。心配する必要ありますか? あと霊体になるの無理でしょ。


「実は……このままでは50億年後よりもずっと早く地球に人類は住めなくなってしまうんです!」


 なんだってー(棒)


「それは、だいたい10億年後……」


 じゅっ……うおくねんごかぁ……。


「そうなんです! 10億年後には太陽君が核融合の材料の水素をだいぶ使っちゃいまして、内部がぎゅーっとなります」


 ぎゅーっと?


「はい。そうすると太陽君内部の密度と温度があがっちゃいます。そうすっと、めっちゃ核融合してめっちゃ明るく熱くなります。そうなっと、海が消えます」


 説明雑ゥ。


「ということで、10億年後には太陽君のパワーが一割増しになるんですね。10億年ならギリギリいけそうですね」


 いや、なにが? まさかアルさん、10億年生きるつもりですか?


「そんなわけないじゃないですか。肉体が持ちませんよ」


 そ、そうですよね。さすがに無理ですよね。


「なので、意識だけの存在になることにします」


 そうですか。


「しかし、実は太陽が赤色巨星になる以外にも人類消滅の可能性があるんです。しかもいっぱい」


 えっ、そんなたくさんあるんですか!?


「はい。そのうちのひとつがビッグリップ。宇宙が加速度的に膨張し、わたしたちもろとも原子レベルで引き裂いちゃいます」



 いや、こわぁ。それはどうして起こるんでしょうか?


「それはですね。よく分からんダークエネルギーが宇宙をめっちゃ引っ張るからです」


 雑ゥ。ちなみにそれはいつ頃起きるんですか……?


「まぁ起こるとしたら220億年後ですね」


 増えとるやないか。50億年後よりも増えとるやないか。東京出身者に関西弁でツッコませないでくださいよ。


「安心してください? 仮説ですよ」


220億年後だったら仮説かどうかもうどうでもいいですよ。


「みんなは10億年後まで、どうやって生き延びるー? 意見聞かせてねー」


 誰が10億年後まで生きるんだよ! ……それじゃーおつステラー。


「おつナビー」



〈多分続かん〉

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

宇宙は神秘的でヤバイ系Vtuber! 国久野 朔 @kunikuni04

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ