第19話
AIの示した娯楽は音楽に自作ゲームやムービー作成だった。
幸繁は子供の頃から勉強漬けの生活をしていたのでどれも触れたことがない。
試しに音楽の生成プログラムを組むようにAIに指示を出す。
AIがプログラムを作っている間に幸繁にはすることがあった。
農業スペースで作っていた小麦がそろそろ収穫できるはずだ。
幸繁はナイフを手に農業スペースに向かった。
「おぉ!出来てる出来てる」
小麦色の穂が揺れていてこれなら期待できそうだ。
幸繁は早速、小麦を収穫する。
収穫にはそれなりの時間がかかったがこの後のことを考えれば全然辛くない。
収穫した小麦はそのまま脱穀から製粉まで済ませてくれる装置に放りこむ。
これで後は待つだけで小麦粉が手に入る。
幸繁はるんるん気分で小麦を植えていた場所の後片付けを行う。
片づけが終わった所で連作障害を避けるために今回は蕎麦を植えておく。
作業を終えて一度、宇宙船に戻り音楽の生成プログラムの進捗状況を確認する。
農作業をしている間に音楽の生成プログラムは完成していたようでサンプルの音楽まで出来ていた。
幸繁はサンプルの音楽を試しに聞いてみる
お世辞にも出来がいいとはいえなかったが今までのことを考えるとこれでもないよりマシと言った感じだった。
「う~ん・・・。自分でも作れるのか少しやってみようかな?」
幸繁は試しに自分でも作ってみることにして音楽の生成プログラムを弄ってみる。
はじめてのことに悪戦苦戦しつつ作業を続けて1日ほどかけてはじめて作った曲が完成した。
その結果はAIがサンプルで作った物よりも酷い出来だった。
「はじめてだしな。でも、極めたら面白そうだな」
時間が出来たら少しずつチャレンジすることにして幸繁はプログラムを閉じた。
「それよりもそろそろできてる頃だよな」
幸繁は農業スペースに向かうと小麦粉が入っているボックスを開ける。
「おぉ!できてる。何を作ろうかな?」
悩んだ末に選んだのはパン作りだった。
宇宙船には酵母も載せられていた為、出来立ての小麦粉でパン作りにチャレンジする。
当然、パン作りなどしたことがないがAIのサポートの元、全ての工程を完了させオーブンに入れて焼き上げる。
焼いている途中だがいい匂いがして食欲を刺激してくる。
オーブンの様子を確認しつつ今から食べるのが楽しみだ。
最終的に少し焦げてしまったがはじめてのパン作りとしては大成功だろう。
「では、いただきます」
幸繁は熱々のパンを食べてみる。
「美味い!」
幸繁は夢中になってパンを食べていく。
追放された時はどうなるかと思ったが文明的な生活を取り戻しつつある。
この調子で頑張っていこうと心に決めた。
政策に反対したら政治犯として宇宙に追放されました。 髙龍 @kouryuu000
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