第6話 私は誠一を愛してる。

 次の日。

 僕とつむぎは匠に詰め寄った。

「お前がタイムリーパーなんだろ。分かってるからスマホを貸せ!」

「え、え、え、た、タイムリーパーって何ですか?」

「惚けるな! お前が振られた腹いせに、つむぎを殺してるんだろ」

「振られたからって殺しませんよ!」

「じゃあスマホ見せろ!」

 匠は渋々とスマホを渡す。

 隅々まで見たが、タイムリープアプリはなかった。

 つむぎの隠し撮り写真は全削除した。

「匠が犯人じゃないとなると誰が……」

「痛たた、痛たた」

突然つむぎが頭を押さえてうずくまる。

「どうした、つむぎ?」

「タイム、リープ、の、記憶の、断片、が流れ込んで、きて……」

 おろおろしながら匠は逃げ出した。

「おい、つむぎ、大丈夫か?」

「犯人は、多分、あの、人」

 つむぎが口にした、そいつの名前は意外なものだった。


 つむぎは屋上に、そいつを呼び出した。

 そこに現れたのは―――――――

「中澤委員長、あんただったんだな」

 僕とつむぎは中澤に向き合う。

「ハハ、ついにバレちゃったか」

「お前がつむぎを……」

「ああ、そうさ。俺は、つむぎが好きだ。何千回とタイムリープしたよ。試しにお前と出会う前にも告白してみたさ。タイプじゃないんだとさ」

「何で殺した⁉」

「愛が憎しみに変わったのさ。何で華やかな俺じゃなくて地味なお前なんだよ」

「私は誠一を愛してる。それは変わらない!」

「まあ、いいさ。これもタイムリープしてしまえばっ」

 中澤はスマホを取り出す。

「させるか!」

 僕は中澤にタックルしてスマホの操作を妨害する。

 中澤の手を離れたスマホを、つむぎが靴で踏み、壊す。

「あああああああああ」

「これで終わりだ」


 昼休み。

 つむぎと共に弁当を広げる。

 いつもと変わらない日常。

 もうタイムリープアプリは必要ない。

 これからは、かけがえのない時間を二人で生きていく。



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タイムリーパー ~君が死なない未来を求めて~ 夢水 四季 @shiki-yumemizu

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