第2話
夕刻になり、豪華な食事を平らげる。疲れからかかなり早い時間に布団を敷き、眠りに入る準備をする。まだ使用されていた箱型テレビからは芸能人の笑い声が聞こえる。
布団に被さり、天井の木目を眺めていた。
オレンジの豆電球だけの空間になって、私は一息ついて眠ろうとする。
しばらく、と言っても数分間、眠れないままでいると、確実にこの部屋から誰かが歩いている音がしている。畳を踏みしめる音が確かに聞こえているのだ。
やがてその音は右から左へと行き、徐々にこちらへ、こちらへ。
勘弁してくれと頭で懇願するが遅く、その足は私の枕元、すぐ近くに到達していた。
私は目を瞑り、必死に願う。頼む、見たくない。だが確かに、確かにいるんだ。
私の願いも叶わず、気が付けば薄めでもその存在を確認せざるを得なかった。
私の目の先、すぐそこすれすれに顔がある。
それでいいものの、ずっと動かずにそれはその距離を維持する。
ずっとずっと。
その気配が消えたのは意外にも5分後のことだった。
私は全身の汗を垂れ流し、荒い息遣いのまま起き上がり水を飲もうとしていた。
立ち上がり、部屋の電気をつけると、閉めたはずのその襖が丁度半分空いていて、その隙間から白い服の女が覗いていた。
女は少し空いた口でこう言っているように見えた。
永遠に反復するようにこう言っている。
海の自殺中継 雛形 絢尊 @kensonhina
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