合い鍵
上田 由紀
合い鍵
それは、あなたと私を繋ぐ魔法の道具
あなたから手渡された、まっさらな合い鍵
私はそれを、握り締める
あなたと命の次に大事なもの
いつでも自由に部屋に入っていいよ
という、あなたからのパスポート
私は特別な存在
そう、あなたに認めてもらった
高価なアクセサリーを扱うかのように
合い鍵を丁寧に、大事にバックの中にしまい込んだ
毎日、合い鍵を失くしていないか
ちゃんとあるかどうか確認した
合い鍵を、まじまじと眺め
愛おしむかのように、指先で表面をなぞる
すると心が華やぐと同時に、あなたに会いたくなる
ケンカして気まずくなっても
きっと私達は大丈夫、と
合い鍵が精神安定剤にもなった
あなたが忙しくて、なかなか会えなくても
合い鍵を見つめていると寂しさが和らいだ
やがて季節は巡り
過ぎ行く時間が蜜月の時を奪っていった
あなたがこの街から去って行った
合い鍵も私の手元から、消え去ってしまった
残ったのは傷心と
抱えきれないほどの
あなたとの切なくて狂おしい過去
合い鍵 上田 由紀 @1976blue
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