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概要
しとしと降る闇、開かぬ遮断機。そこに佇むは、人か、幻か、それとも――。
梅雨の深夜、曰く付きの古い踏切で、大学生の高槻は足止めを食らう。最終電車が通過したにも関わらず、遮断機は閉じたまま上がらないのだ。背後からすすり泣くような声が聞こえ、振り返るも誰もいない。やがて遮断機が上がると、踏切の向こうに揺らめく赤い人影が現れる。影はこちらを見据え、近づくにつれ、肌を刺す冷気と低い唸り声が増していく。恐怖で足がすくむ高槻に影は迫り、間一髪、彼は無我夢中で逃げ出した。背後からは悲痛な絶叫が響く。振り返れば赤い影は消え、雨音だけが残っていた。しかし、肌に残る冷気と得体の知れぬ存在への恐怖は深く刻まれ、彼は二度と深夜にその踏切へ近づけなくなった。雨の夜が来るたび、あの赤い影の記憶が蘇るのだった。
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