きみは幸せでしたか?

まさか からだ

第1話 きみは幸せでしたか?

ねえ

きみは幸せでしたか?


社会に名を刻むために

静かに 深く 登っていった

あの冷たい石段の先で


誰かに褒められたくて

誰にも責められたくなくて

ただ

ちゃんと「ここにいる」と言いたかっただけなのに


正しさに固く包まれた心が

ふと ほどけた瞬間

きみの奥にあった

やわらかい光が見えたよ


根性、努力、忍耐――

そう言われ続けてきたきみの中には

実は誰よりも繊細な

音と色と感覚が息づいていた


誰かの期待の中で

きみはきみを見失わなかったか

その答えを 今 聞いてみたい


孤独のなかでつくりあげた夢は

まだ きみの胸で

温かく灯っているだろうか


過去をなぞり 未来を築き

すべてを「意味」に変えて

きみは今日も立っている

あの日の不安と、希望のあいだで


だから、

あらためて訊くね


ねえ

きみは――

幸せでしたか?

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きみは幸せでしたか? まさか からだ @panndamann74

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