追伸 君を案じる
≫≫ ?
――人が人で居られなくなる瞬間というものがある。
その瞬間それまで人だったものは、頭の先から全身真っ黒い塊になって、どろどろと溶けていくそうだ。
黒い、歪とお揃いの目になったものは人型個体として形を変え、そして歪として姿を消す。
と、ずっと言われていた。実は例外なくそうではないらしい。
禍々しいものが必ず禍々しい終わりを迎えるという訳ではない、そうだ。そんなことがあるものなんだなと素直に感心している。
禍々しいものは禍々しいものなりに、最期に少し報われるのかもしれない。
そう考えると人間もまだ捨てたものでは無い気がする。まぁもっとも、最初からそんな歪が存在しなければいいのではと思うかもしれないがな。
……ところで君、こんなマニアックな話を聞いて楽しいのかい?こんな話ほとんど都市伝説と言われても文句はないのだけど。――いやまぁ、これは全て俺の知識であることは否定しないが。
へぇ、昔歪を見た事があると。君みたいな小さい子がか。凄い体験だなそれは。
俺か?俺はもう、何十年も前だな。最近はめっきり見えない。年取ると能力が劣るらしい。昔は魔道具が作れたんだけどなぁ。
質問?構わない、答えられるか分からんが。
――今君……何を言ったんだ?何で君が、あの人を知ってる?
「――そんなに血相変えなくたっていいじゃないですか……。まぁ、そんなことどうだって良いんですよ。ただ夏だから。古い友人が元気かなって、思っただけです。」
ゆがんでほどけて 卯月ななし @Uduki-nanashi
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