35 孤独になりがちなスイミー


黒い小魚スイミーは、群れの中でいつも浮いていました。

なぜなら彼だけ、自己啓発本を読んでいたからです。


「群れるのは安心だが、思考停止でもある」


そう呟きながら、スイミーは一匹で泳いでいました。

すると案の定、でかいマグロが来て、仲間は全滅。


スイミーだけ助かりました。

理由は簡単。マグロがドン引きしたからです。

「なんかあの魚、目が怖い……」


スイミーは旅に出ました。

クラゲに会い、こう言われます。

「流されるのが人生よ」

スイミーは返します。

「それ、主体性の放棄ですよね?」


ヒトデに会いました。

「動かなくても生きられる」

「それ、現状維持バイアスです」


次に出会った小魚たちは、震えていました。

「大きな魚が怖い……」

スイミーは言いました。


「では、チームビルディングをしましょう」


小魚たちは一列に並びました。

スイミーは言います。

「皆さんはボディ、私はビジョン(目)担当です」


巨大な魚の形が完成。

敵の大魚が来ました。


しかし近づいてきた大魚は言いました。

「え、待って。あれ魚? それともスタートアップ?」


スイミーが叫びます。

「我々は一匹ではない! KPI(目標達成指標)を共有した集合体だ!」


大魚は意味が分からず撤退しました。

実は、小魚たちも分かりませんでした。


こうして小魚たちは平和に暮らしました。

ただしその後、

スイミーは毎日30分の朝礼を導入し、

皆は別の意味で逃げ出しました。


― 教訓 ―

「団結は力だが、意識高すぎると孤立する」

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🎯全力で笑わせにくるパロディー集 ポエムニスト光 (ノアキ光) @noakira

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