大文字伝子が行くー番外編
クライングフリーマン
-------【書き出し指定・ミステリー編】--------
「あの夢を見たのは、これで9回目だった。」
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======== この物語はあくまでもフィクションです =========
午後1時。芦屋フローラル研究所(森アパート)。
斉藤理事官の提案で、森アパートに住む住人、詰まり、伊知地、、葉月、越後、小坂、下條、七尾、大空、仁礼、財前、柊、そして、寮母の森が安心して生活出来るようにセキュリティーを強化していたが、森から、近所づきあいがしづらくなったと報告を受け、カムフラージュの会社を作ることになった。
社長(所長)は、中津健二が「就任」し、時々、高崎や泊という「男子社員」も出入り出来る様にして、中津は、近所の挨拶回りをした。
年頃の娘達が揃っているので、下着も外に出せない。
どこのアパートでも、同じ事情だ、と森は伝子に話していた。
カムフラージュの会社は、伝子のアイディアである。
今日は、アパートの小庭で「カレーパーティー」をしていた。名目は、『柊隊員加入祝いの会』。
『自衛隊組』は、『炊き出し』には慣れている。
そこへ、須藤医官がやってきた。
「やっぱり、金曜日はカレーだな。」須藤は、舌鼓を打った。
「先生。『夢遊病』って、本当にあるんですか?」
「何だ、いきなり、新人。」
「柊です。」
「何だ、いきなり、柊。」
「私、見たんです。ふらふら酔っ払ったみたいに。」
伊知地が言った。「酔っ払いじゃないの?」
「私も、そう思ったんです。でも、自転車が側を通った後、避けたんです。」
「偶然でしょ。」と、越後が言った。
「他に特徴はないの?」と、葉月が言った。
「何か、ぶつぶつ言ってました。」「ぶつぶつ、じゃ分からないわ。独り言?」と、小坂が尋ねた。
「俗に、夢遊病と呼ばれるのは、睡眠時遊行症のことで、睡眠時遊行症は、睡眠中の人が自覚のないまま半ば無意識の状態で歩き回る現象で、小児期の後期と青年期に最も多くみらる。 睡眠時遊行症はノンレム睡眠の最も深い段階で起こり、 睡眠時遊行症の人は、歩きながら繰り返し何かをぶつぶつと呟いたり、障害物にぶつかってけがをすることがあったりすると言う。」
「認知症かしら?その人、柊隊員、あ、柊さんの言う通り、『夢遊病』じゃないかって近所で噂の大牟田賢人さん。建築会社の社長さんだったけど、息子さんが後を継いで、所謂悠々自適の生活の筈が、最近、どうも様子が変なんです。」と、森が言った。
「柊さん。何時頃?」と、財前が尋ねた。
「午後5時頃です。実は、コンビニ帰りに、近所の奥さんに言われたんです。夢遊病よって。」
「何だ、偏見じゃないの。」と、仁礼が言うと、「まあ、そうなるわね。」と、大空が同意した。」
すると、下條が「認知症とどう違うんですか?先生。」と尋ねた。
「認知症の場合は、環境の変化について行けなくなり、知っている人もちゃんと認識出来ない場合を言う。夢遊病、いや、睡眠時遊行症は一時的に強いストレス原因で、人によっては、毎日起こす場合も1ヶ月に起こる場合もある。夕方歩いていたのなら、認知症かも知れないね。普通は眠っている時間帯じゃ無い訳だから。森さん、普段、どうなの?」
「昼間とか朝に会ったときは、ちゃんと挨拶してくれますよ。」
「大文字のお母さんは、確か介護士だったな。それとなく家人に尋ねて貰うか。」
午後5時。芦屋フローラル研究所(森アパート)近くの公園。
問題の大牟田老人は、公園のブランコに乗っていた。
森と、藤井と綾子は様子を伺っていたが、綾子は大牟田家を訪ねた。
「ああ。老人ホーム、出来るんですか。お義父さん、最近悪い夢を見ているらしくて、うなり声が、私達の部屋まで聞こえてくることがあるんです。」
「夢、ですか。」やがて、大牟田老人が帰ってきて、表に出た綾子は藤井に呼び止められた。
「録音したわよ。草薙さんが貸してくれた、このICレコーダーは、結構大きく再生できるのよ。」
公園で採取した大牟田老人は、こう呟いていた。
「あの夢を見たのは、これで9回目だった。何で早く返してあげなかったんだろう。」
綾子は、愛宕警部を呼び出し、大牟田家から、家人である息子夫婦を呼び出した。
「そうか。オヤジは勘違いしているんだ。去年亡くなったのは荻野(おぎの)さん。古い、ウチの取引先です。で、オヤジが昔借金したのは、萩野(はぎの)さん。もうとっくに返済し終わっていますよ。生きています、萩野さんは。」大牟田太郎は、はっきりと言った。
森、藤井、綾子の3人は、後を愛宕警部に任せて帰宅した。
「変な噂立てないように、ご近所に言っておくわ。じゃ。」
芦屋フローラル研究所の前で別れた藤井と綾子は、帰って行った。
============= 主な登場人物 ================
伊知地満子二曹・・空自からのEITO出向。ブーメランが得意。伝子の影武者担当。
葉月玲奈二曹・・・海自からのEITO出向。
越後網子二曹・・・陸自からのEITO出向。
小坂雅巡査・・・元高速エリア署勤務。警視庁から出向。
下條梅子巡査・・・元高島署勤務。警視庁から出向。
財前直巳一曹・・・財前一郎の姪。空自からのEITO出向。
仁礼らいむ一曹・・・仁礼海将の大姪。海自からのEITO出向。
七尾伶子・・・警視庁からEITO出向の巡査部長。
大空真由美二等空尉・・・空自からのEITO出向。
柊安江・・・元マラソンランナー、元やり投げ選手。
森淳子・・・アパート経営者。以前、依田や蘭が住んでいたアパートが全焼。新生アパートが出来てから、EITOの寮として開放。自ら管理人を兼ねる。
藤井康子・・・伝子のマンションの仕切り隣の住人。モールに料理教室を出している。EITO準隊員。
大文字綾子・・・伝子の母。介護士。
愛宕寛治警部・・・伝子の中学の書道部の後輩。丸髷警察署の生活安全課刑事。『片づけ隊』班長をしている。
草薙あきら・・・EITOの警察官チーム。特別事務官。ホワイトハッカーの異名を持つ。
須藤桃子・・・陸自からEITO出向の医官。
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==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==
==エマージェンシーガールズとは、女性だけのEITO本部の精鋭部隊である。==
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―完―
大文字伝子が行くー番外編 クライングフリーマン @dansan01
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