第27話
「あなたの重荷になりたくないの、わかって」
「分らない。けど、ひょっとしたらこれはニナイ少将・・・参長からの、僕たちへのプレゼントなのかもしれない」
「え?なにソレどこら辺が?嫌がらせじゃないの?」
「ゾラはほら、なんか尽くす女気分を味わえて燃えてるでしょ、こんな風に」
「あっ・・・」
「僕はそんなゾラが可愛くて仕方ないし、そんなでかれこれ10時間くらいずっとこんな感じだし……」
ライアンの口はゾラの瞳の訴えるような濡れた輝きに止められた。
二人は再び貪り合い―――
「結局、話らしい話は何にも出来なかったね」
隣で軟体生物のようにグデングデンになり、時折思い出しように肉体を痙攣させつつ体液を放出しているゾラ。
(こんなんなっても意識だけは明瞭だったり……いや、無いな)
痙攣などの不随意反応があるし、たぶんゾラの意識は太古地球の海の中、原始生物辺りに還っている。
部屋の呼び出しが鳴り、エアコム……は、そうだここはゾラのキャプテン…コマンダールームだった、とモニタ横のメカニカルスイッチを押す。
『あら、お楽しみだったのね』
ニナイ参長だった。
立ち上がり敬礼する。
「ライアン少尉であります。ニナイ参長閣下におかれましてはこの度の―――」
『あら、ゾラから聞いてないの?特進と転属について』
「いえ、それを問い詰めようとしたところ、その」
ライアンの視線がゾラへと下がる。
『ああ、察するに・・・あえて縋らずに””私のために夢を諦めないで”みたいなコト言って勝手に燃えて達しまくって――と言うところ、かしら』
「まさに、であります。転属先など具体的な情報を正す間も無く・・・私もあまりのいじらしさに猛りがまるで治まらず、というところでありました」
『ふうん・・・ということは、転属に関しては不満があるのね』
「いえ、不満よりも私の戦術を敵に模倣される危機感、恐怖が上回っております」
『あら、レコーダの人物像とは随分違うのね。直情的で身近な危機への想像力すら怪しいと思っていたのに」
「参長閣下のご懸念、誠に正鵠であります。戦闘行動中未だ感情を制御しきれず・・・この身の不徳、お恥ずかしい限りであります」
『結構よ?政治を持ち込んで戦力を投入しなかったり自軍の戦艦に射線を誘導したり私事を優先して撃墜を渋って遊んだりしなければどうでもいいの。それより・・・』
えーと、ジャマイカ・・・ドミニカンとザザンとジュリアン中尉のやらかしか。
この世界線ではライザさんも生きてるしユーミ死亡後に女の子になってる()しどうなんだろうというところではあるけど。
『あなたがロケット戦闘機を用い単騎で出撃するだけ大隊から旅団規模の敵戦隊を基地諸とも消滅させてしまう……とにかく、あなたをこのまま運用するのは危険なのよ、どうしようもなく……ね』
「はい、自分もそう感じます」
解析されたら人類即消滅しちゃうんじゃねーの・・・やばいよ。
『そしてあなたは、これからどこへ行こうと新型のテストや移送中の事故、訓練中の重力機関の暴走を仕掛けられる……つまり幾つもの閥や組織の思惑に翻弄されることになるわ』
「ああ、なるほど……では除隊してゾラと家庭を築きます」
『いいわ、では作戦終了後にそのまま大地へ降りなさい。木星圏よりも、メレッセのお城の方が色々紛れるだろうし、安全……はどこに行っても無いでしょうけどより強大な危険に寄り添うことで問題を一元化できるわ』
「えっ」
何言ってんのこの人・・・大地へ、いやそれより大きな危険?
『そうね、移送した民間人もあなたの行方他関係で様々な政治利用に消費されるのも癪だし、そのまま連れて降りて。総帥のプライベートな領地に海は無いから移民広告詐欺になるかもしれないけれど』
「は、その・・・大地は禁足地と聞いておりますが、降りられるのでしょうか」
『禁足も何も、ジュリアンの私物よ。おそらく次の被撃墜で降格される一下級士官の私物・・・はあ、やんなっちゃうわね』
えーと、そのジュリアンさんはゼッタ姉御の私物だから・・・ゼッタさんが一番偉いのかなあ・・・
その後僕とゾラは地上に降りて幸せに暮らした。
END
菊よ、その気高き花言葉をもう一度 プリオケ爺 @hanagehanage
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