水は知っている

岸亜里沙

水は知っている

2023年3月、フランスで記憶障害の患者に、水を飲ませる事で症状が改善出来るかの実験が行われたことを知るのは、一部の研究者しかいない。

水は記憶を持つという。

実験の内容は、前日の記憶さえ欠落してしまう記憶障害を抱える被験者に、水の入ったコップを部屋に置いた状態で、共に一日過ごしてもらうというもの。

見たいテレビ番組を見たり、気になった音楽を聴いたりしながら一日を過ごし、その翌日、コップに入った水を飲むことで、前日に見たテレビ番組や音楽を思い出すことが出来るのかという実験だ。

音波や電磁波が水に影響をもたらし、それが水の記憶として残存するのであれば、その水を体内に摂り込むことで、水に記憶された情報を知ることが出来るはずだと研究者は考えた。

人間の体は、約60%が水分だと言われている。

つまり、人間の記憶というものは、脳に記憶されているのではなく水分、即ち血液が司っているのではないか。

それを裏付けるように、フランスの実験でも、前日の水を飲んだ記憶障害の被験者が、記憶を復活させることが出来たという。

まだこの実験は秘密裏に続けられているそうだが、近い未来、水の可能性は大きく飛躍するのだろうか。






This novel is fiction.



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水は知っている 岸亜里沙 @kishiarisa

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