【KAC20252】理想と現実ってね

あこがれはいいけれど、夢は見ちゃいけない。

　あこがれを持つことはいいことです。「退職したらあれやりたい。これやりたい」って。けれど、その時の自分を想像してみて欲しいものです。

　自分の状態は今と同じではないのです。もう若くはないのですから。からだのあちこちが痛んだり。病気になったり。新しいことが覚えられなくなったり。動くのが面倒になります。新しい人間関係を築くには、かなりの労力が必要です。それに耐えられる自分を、今から準備しておかなくてはいけません。

　現役時代の生活の幅を、退職と共に狭めるのは難しいです。普通でいいんだと思っています。自分の家族や、周囲の人たちを大切にして、身の丈にあった暮らしをするのです。

　人生一度きりだから大花火を打ち上げてやる。そういう気持ちも、もちろん尊重します。けれど、無数の老後を見てきた私は、立派な家や冒険はいらないのです。自分のやりたいことを少しずつ続けて、猫と一緒に静かに老後が過ごせればいい。それが私のあこがれなのです。

—了—