美しい人にあこがれ続け
加須 千花
疎雨はこの恋を手放す事はしない。
二十歳の
三十歳の彼女は、あたたかな微笑みで、
清純な美しさ。
雪のような白い肌。
豊かな黒い髪。
彼女の歩いてる場所からは、光がさしているように、
彼女はいつも日だまりのなかにいるのだ。
「
「はい、若奥様。」
彼女は人妻だった。
彼女は、お茶の豪商の家に生まれて、
釣り合いはとれず、何も持っていない。
「いつもありがとう。」
若奥様は、気さくに、笑顔で声をかけてくださる。
「…………。」
もし、
(どうなるかなあ。)
一笑に伏されて、相手にされないか。
「聞かなかった事にするわ。」
と言われるか。
「
と、追い出されるか。
(恋してる、と伝えても、何もならないな。
そりゃそうだ。差し上げられるものも、何も持っていないんだから。)
それでも───。
恋してる。
若奥様を、愛してる。
この心だけは真実で、
手放したくない。
報われなくて良い。
馬の口をひきながら、馬の背に揺られる若奥様を振り返り、そっと盗み見る。
若奥様は、前を見ていて、
(若奥様は、お美しいです。お慕いしています。)
心に秘めた想いを、胸中でつぶやく。
それでも、本望だ。
美しい人にあこがれ続け 加須 千花 @moonpost18
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます