生成AIの未明の未来

くろのん

夢で見た未来

 夢を見た。


 生成AIが普及した未来の夢だ。


 そこでの僕は、その時代に住む未来人で、過去からアクセスしてきた人たちに説明をしていた。


 ◇ ◇ ◇


 未来はすごく便利だよ。


 きれいなイラストを見たいと思ったら、生成AIに「きれいなイラストを見たい」と言えばいい。


 小説や漫画を読みたくなったら、生成AIに小説や漫画を読みたいと言えばいい。


 アニメや映画も同じだよ。


 AIに頼めば、AIが生成した作品群(ライブラリー)の中から、好みのものをピックアップしてくれる。料金は一応かかるけどサブスクの基本料金の範囲だから気にならないよ。


 全部見終わったらどうするんだって?

 似たような作品ばかりじゃないかって?



 アハハ、そんな事ないよ、ライブラリーには(仮に人が何回転生しても)見きれないほどの生成物が既に蓄えてあって、その蓄えは今も増え続けているんだ。


 満足できないなんてクレームは全然見たことないよ。


 だけどそれでも、特別な人のための特別の用意もあるよ。

 希望に合わせてその人専用のものを作るオプションがある。もちろんオプションだから追加料金は必要だけどね。


 (小声)じつはちょっとした気分の問題で、膨大なライブラリーの中には探せば似たものがあるんだけどね。あ、これは内緒ね。


 経済効果?


 もちろんだよ。(得意げに)生成AIが普及し始めたとき、ちゃんとコスト削減を掲げていたし、実際にコストは節減されたよ。(ニッコリ笑う)


 なにしろ人にかけるコスト(創作者への対価・支払い)が必要なくなったんだ。


 イラストレーターも小説家も漫画家も声優も俳優も全部生成AIがやってくれるようになった。凄いコスト削減だったよ。(遠くを見る表情)


 そういえば、一応、生成AIを操作する人のコストはあったかな。


 でも、生成AIに文字を入れるとか誰にでも出来る作業でしょ。


 えっとこういうのは才能の民主化っていうんだっけ?


 誰にでも出来る作業だし、やりたい人ばっかりだったから、高いお給料にはならなかったよ。今までの人達より随分安く済んだし、その人たちの作業も直ぐにAIが肩代わりするようになったね。今は全部AIがやっているよ。


 え?


 仕事がなくなったイラストレーターや小説家や漫画家や声優や俳優は、どうなったんだって?


 趣味でイラストを描いたり小説を書いたりする人はいないのかって?


 ああ、それはね(暗い声)いくらかはいるよ(小声)彼らは今はね(声がどんどん小さくなる)じつはね……


 (ここまで説明したところでベルの音がした)小さくなる僕の声に反比例してベルの音はだんだんと大きくなる——


 ◇ ◇ ◇


 僕が目を開くと、世界は、今はだ、ぼんやりした未明の時間だった。


 目を瞑ったら、僕は、また未来の続きを見ることになるのだろうか。

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