とある男(実験体A)の思考。

木田りも

全て。

小説。 とある男(実験体A)の思考。 



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[本書は都合上、神の目線(小説の地の文)で物事を語る場面がある、その場面では分かりやすいように☆マークをつけることとする。]


[不都合な事が起きた場合、神の目線が対応致しますので、読者の皆様はお気になさらず読み続けていただけますと幸いです。]


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○通知。


 ・本実験は一般男性の平均的な1日の思考回路を記録、調査するために行う。

 ・上記により、平均的な1日を何度も繰り返させる。

 ・彼が実験体である事は本人に気づかれてはいけない。

 ・本人が気付いてしまう、またそれに近しいことを考えて疑ってしまった場合、直ちに思考調整委員により、意識と記憶を変えてその都度、生活をさせる。

 ・本人には、寿命以外では死なせてはならない。

 ・誰が実験体なのかは、全ての人類が知っている。

 ・彼の思考はどんな些細なことも含め全て管理、傍聴されている。それを本人には知られてはならない。

 ・第三者の行動で本人にその実験について気付かれるようなことをした場合、その第三者には、然るべき措置が処される。


(以下追加事項)

 ・季節の変化に関しては、なだらかに身体に馴染ませ、イベント日などは、その都度、記憶を無くしたりして、なんでもない毎日がずっと続くように調整をかける。よって対象の人物には、イベントは起きないこととする。

 ・年齢は5歳毎に更新し、20〜24歳、25歳〜30歳のように、実年齢が境目の年齢に達するたびに、その年代のマインドになるようコントロールする。なお、今現在の彼は27歳のため、25歳と本人は思っている。


以上です。国民の皆様、よろしくお願い致します。



____________



☆これより始まります。


____________


 (目を覚ました。正確には目を覚ましてしまった。なんだか毎日疲れが取れない。僕も歳をとったのかな。否!まだ若い、、はず!!

なんつって、あーー今日も1日が始まる。何が起きてもどうせ人はいつか死ぬんだ。幸せなんてどうでもいい。起きなきゃーーーでも布団が僕を離してくれない。いつものことだ。この10分が良いんだよ。この10分が……)


☆男はそう言い10分間隔でスマートフォンのアラームをセットする。次に起きるのは30分後。起きてギリギリ間に合う時間である。


( ……………えっ!!!!!

まじかよ、くそだ。最悪だ。ギリギリになって焦って準備したくないから予定より早く起きてるのにこれじゃ意味ないんだよ。30分前の俺め、、クソが。起きて、ご飯………はいいや。着替えて、歯を磨いて、シャワー…………もだるいや。体拭くのだるいからいいや。そうすればまた最後用意終わった後、家出るまで15分くらい横になれるぞ。よし、そうと決まれば、立ち上がって、よし、始め!!)


☆男は用意を始める。


(良いペース、良いペース。順調だ。よし。あれ?あそこに昨日ゴミ箱に入れたはずのティッシュが床に落ちている。最近多いんだよなぁ。ちゃんと捨てたはずなのに床に落ちてるとか、ちょっと部屋のものの場所がズレてるような気がするとか。まさか、僕以外の誰かがここに来て、、……陰謀的な何かだったりするのか……おやおや…‥怪しいですねぇ、、)



(…………まあ、、僕がきっと寝ぼけて行動しているんだなぁって。さては、夢遊病なのかなぁって時々、思う。でもなんだか掃除って熱が入るとついつい、やっちゃうんだよね。あ、ここも、ほら、ここも、って感じで次から次へと気になる。そして綺麗になるとやっぱり楽しい。ものが整理されて見やすくなるってたぶんすごく良い事なんだと思う。僕は掃除が苦手だけどたまにやったら隅から隅まで出来るんだ。どうだすごいだろ、えっへん。あわわ、、もうかなりギリギリの時間だ。出なきゃー、歩いて30分は長いけどまあ歩くの好きだし良いか。イヤホンで音楽聴きながら行けるしね、さて、全て持ったかな。鍵を閉めて降りて、家出たー、さむーーーー。北海道ってなんか年々寒くなっていくな……手袋と、、、イヤホン、、、あれ?うわ、最悪。イヤホン忘れた。めんど、ダル。……………取りに行くかー、この時間分、残業とかになったらまじでもったいねぇ、僕はねぇ、朝、少し遅く出るくらいなら早めに仕事やって終わらせて帰りに少しでも早く帰る方が幸せなんだ。僕はー、ぼかぁ、その方がしあわせなんでげすぅ〜へへ。)


☆男は変な言い方を想像して少し吹き出して笑っている。


(はぁーイヤホンあった〜、やっぱり家を出る直前に置いてしまっていたー。そういうとこだぞ!俺!思ったけど、俺とか僕とか男の1人称っていっぱいあるなぁ、、

おれ、ぼく、、、、、おいどん?小生。、、、、、ぼくちん、おれおれ、ワイ、2チャンネルか!!、、、、、、今日の音楽どうしようかな。YOASOBIにしようかな、Aimerかな、GReeeeNかな、いきものがかりかな。

あれ?なんだろうあの人。めっちゃ俺のこと見てくる。ん?なんだなんだ?俺ってそんなモテる?いやだーもうやめてよ〜なんだってそんな、、、まあ、ちょっとカッコつけちゃおうかなぁ!!、、、、、、、、ん?


あれ?


ほんとになんだ?俺なにかしたかな。なんか、俺が存在すると不都合なのかな。俺って何者?普通の人間?普通に生きているだけの人間なはず。あれ、俺ってなんか、ん、まだ見てるなぁ。すごくずっと見てるなぁ。まるで僕が、なにか試………え?)


☆男の周りに思考調整委員が現れる。思考調整委員は男を黒い袋で覆い、機械を起動させる。そして、立ち位置を少し前に戻し、袋を開けて、男を歩かせる。男は先ほどの記憶が、どうやら抜け落ちているようだ。これ以降、主にこのような対応を行う際は文を省略する。

なお、僕のことを見ていた女は思考調整委員によりどこかへ連れ去られたようだ。


(いきものがかりかな。そうだ、YOASOBIにしーよぉ。自動再生、、、お、セブンティーン、、、イイネ!……にしてもほんと早朝って本当に人いないよなぁほんとに。ほんとに人いないなぁ、ほんとに。頭の中で俺は今何回、ほんとにって言っただろうか。ほんとにほんとにほんとにほんとに…………いやーにしても今日は暇だと良いなぁ。でも暇すぎても嫌だな。程よくやる事があって退屈を感じないくらいに忙しいのがちょうどいいな。はぁ〜〜〜

セックスしてぇ〜〜〜!!!

あんなことやこんなことしてぇ〜

大学の同期の○○ちゃんとあんなことやこんなことしたかった〜そんな人生ファンタスティック!!!あー俺はこんなことばかり考えてる。だから、モテないんだよな。はぁ。)


(……あ、死にた。唐突に、死にた。苦しまないで死にたいな。ポックリ、もうポックリと。1秒間で死にたい。痛覚に到達する前に。飛び降りとかどうなんだろう。飛び降りてる最中に感じる風とか見える景色。綺麗なのかなぁ、目はつぶってしまうのかな。まあ、どうにしても、終わる前にそんな事は考えられないか。はぁー着いてしまった。30分ってあっという間。今日もいつもと変わらない日々。くだらない仕事、どうでも良い人間たちと話して、生産性のない結果を得る。大体、意味のない話をしてそれが何になるんだ。意味ってなんだ?意味があるのとないの間の壁はなんなんだ。今の自分にとって意味がないだけで、先の自分には意味があるのかもしれない。それでも意味がないと言えるだろうか。意味のない会話について飲み会で愚痴を言ったり出来たりする。そうか、飲み会の話題に変換できたりするなぁ。そう思えば無駄な会話ってないんだなぁ。生産性のない会話ばっかりだと思ってたけど、生産性がないことでどこかで生産性が生まれるのか。こうして世の中は循環している!あー楽しい、うそうそ、帰りたい。着く前から帰りたい。着いた瞬間帰りたい。もう帰りたい。あーーーーーーー帰りたい。)


☆男はロッカールームで着替える。


(はぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。はぁーーーーーーーーーー!!!!!ー!ー!ー!!!!!!!!

いや待て、鏡に映る俺………。

……イケメンだわぁ。まじイケメン。とんでもないくらいイケメン。やべえ。、全世界の人が好きになっちまうなぁ。やんなっちゃうなぁーもー。……………ん?

顔になんかついてる?ぺりぺり。)


(うわ!目ヤニか、、きったねぇ、やっぱシャワーは浴びなきゃねぇ、、、。こうして、顔からぺりぺり剥がれて別人が現れたりして、へっへっへっ。

秘密を知られたからには生かしてはおけないな、、、斬!!!!…………………なんつって〜!!!)


(………はぁ。仕事ダル、やめたい、もうやめたい。限りなくやめたい。

くだらない妄想してる間に全て終わらないかなんて思う。嫌なことが始まるのを待つ時間ほど憂鬱な時間ってないな〜。お金が降ってくればなんの問題もないのだけれど、宝くじでも当たらないかな。7億くらい欲しいなぁ。生涯年収って3億って言われてるけどそれ以上のお金を一気に手に入れてみたい。可能性が0じゃないってところがほんとにいやらしいよなぁ。0.1%でも可能性あるのならばやりたいもんな。当たったらこんなところ秒でやめてやる。秒で。当選確認して間違いじゃないか確認した後、上層部に名前と所属を伝えた後、思いっきりバーカ!!って言って即切りして無断欠勤するんだ。最高の夢だ。)


(……まあ、買ってないけどね。宝くじ。)


☆スマホのアラームが鳴る。タイムカードを切るまで1分。


(始まってしまえばこっちのものだ。よし。頑張ろ。あ、工藤さんだーー、思えば、歳上の方々に囲まれて仕事をしているけど、改めてまじまじと見ると、工藤さんも歳とってるんだなぁって感じる。元気が自慢の人で、僕もとても好きだけど、人間は時間には抗えないんだなぁとも思う。)


「おはよー」

「あ、工藤さん、おはようございます」

「今日も寒いね」

「そっすね〜、マイナス5℃くらいでしたよ今朝」

「あら〜そんな寒いんだ〜、調子どう?」

「もー絶好調ですよ!!…………へへ」

「ん、どうしたの?」


………………


「いや、なんだかこんな会話、昨日もしたような気がして笑」

「え?」

「え?」

「いや。ごめん。何?上手く聞こえなかった!」

「え?あぁ、なんだかこんな会話、昨日も…」



「…………あー。いや、なんでもないです。

今日も仕事頑張ります」

「うん、それが良いよ。今日もよろしくね」


(思ったけど、僕は2つのことを同時にやるのがなかなか苦手だ。考え事をしながら作業をしたり、その逆も然りだ。だから、考え事をすると、いろんなことが混同している。作業をしなければならないと考えながら、将来のことを考えていたり。それを繰り返したせいで頭がこんがらがり、会話を繰り返しているような気がしているだけなのだろう。ただ口が覚えているのか、言葉にした時に言い馴染みが存在したことに違和感を感じた。しかし、気にしても仕方ない。背中を押された通り、普段と同じように、いや、普段よりも、昨日よりも頑張ろう。)


「おはようございます!」


☆おはようございますと各所から返事が返ってくる。


(何気ない1日が今日も始まる。昨日、今日、そしてまだ生きていない明日。ただの毎日。しかし、その時間の中で僕は老い続ける。変化といえば、老いていくだけ。繰り返しているだけなのだから僕はただ老いている。)


☆少し紛らわしいと思い躊躇したが、この男はここから勝手に色々と関連づけて妄想をしてしまいそうなので、我々(思考調整委員)の手で、毎日が刺激的なものであると脳に思い染み込ませる。


(いや。こうして、ただ老いているだけではないのかもしれないな。もしかしたら、今日は何か変化があるかもしれない。良いか悪いかわからないけど、何があるかわからない面白さを毎日は持っているかもしれないなって思った。まあ、とは言っても仕事はしたくない、かっこ笑 い。そこに変わりはないなぁ。あはは。休みの日と仕事の日の時間経過は明らかに違う。1秒は1秒でしかないのに、倍速で経つ休日と、0.5倍速で経つ仕事。不安定な毎日に、ただ今を生きる僕。きっとこうして日々はうつろう。終わらせようなんて思わないが、いつかの終わりを待つ日々は、幸福だろうか。)


「高橋さん幸せですか?」


(パートの先輩の高橋さんに声をかけた。無意識に。職場の僕としてではなく、素の自分として声が出ていた。)


「え?どうしたの?急に」

「いや、ただ気になって」

「んーー、……こうして毎日を過ごしていることが幸せだよ。」

「そういうものですか?」

「そういうものだよ。」

「あまりわからないです」

「いつかわかるよ。」


(高橋さんはいつも眠そうだし、今回も聞いてるだけで眠くなるような声で言ったけど、その言葉が持つ芯の太さを感じた。覚悟というか、おそらくこれがパートの先輩で、長年ここにいる、居続けている、高橋さんの強さだ。)


「だから、自分が幸せかどうか気になったら、一回、立ち止まったり休んだりすると良いよ。幸せは、常に進行形で存在するものだから。」


(気になったから一つの言葉しか入ってこない。休むってなんだ?休むのは良いがそのあとどうやって社会に戻ってくるんだ?一度休んでしまうとその後がすごく億劫にならないか?

 ……なんだか、僕は高橋さんの言葉が自分にあまり入ってこない気がした。強くてカッコいいし、立派だし尊敬すべきなのだけれど、僕はなんだかその時に別のことを考えていた。生まれてから死ぬまでにどれだけ自分基準で『幸せ』と考えられるかただそれだけだった。タイトルに『幸せ』とつけられる物事。結局、誰かの幸せと自分の幸せは違う。一般的に幸せなことといえば、で、思いつくことは分かるが、僕は自分自身の幸せを探しているのだとこの質問をして気づいた。だし、人の目を気にする性格上、やっぱり一般的な幸せを、誰もが見て幸せって思うことに幸せの比重が大きいことにも気づいた。だからこの言葉が出てくる。)


「たぶんなんすけど、僕は幸せを望んでない気がします。」

「ほぉ、どうしてだい?」

「僕の代わりに誰かが幸せになれるとしたらそっちを優先する方が楽なので。」

「そうか、なら君は誰かの幸せを願うことが君の幸せなんだね」

「え?」

「間違いなく君自身の言葉だと思うよ」

「いや〜」


(いや違う。ただ誰かの幸せを僕が奪ってしまう結果になった時にらその誰かから恨まれたくないっていう意味だったが。盲点、いや、灯台下暗し。……同じか。少しだけ言われてハッとなった。僕の言葉は無意識に遠くまで転がっていたのかもしれない。僕は高橋さんのことが少し好きになった。これが人生の先輩っちゅーものかもしれないな。チューね。チュー。チューしたい。……………………高橋さんではない!!!

若い女の子だよ!若くてピチピチのな!!!)


……


(良いか!!!男の考えることなんてこんなもんなんだぞ!!!って誰かに伝えたい。誰かに!!!くっだらない。何を聞いてどう思ったんだっけ?へへ。へへへ。へへへへ。えへへへへへへへ。)


……


(仕事なのにも関わらず、なんだか時間があっという間に流れるようになってきた。もうすぐお昼。今日は何を食べようか。そんなことばかり考える。思えば休みの日の時間の経つスピード

は3〜4倍くらいに感じるし、仕事の日でも2倍くらいには感じるようになった。仕事が早く終わるのは良いことなんだけど、それはつまり、仕事に追われているっていうことにもなって、まず大変なんだけど。でも経つ時間を数えるくらいの仕事よりは全然マシだなって思えて性に合ってるんだろうなぁと思う。でもなんだか、僕はずっとずっと仕事をしているような気もしている。まるで休みなく1日1日を繰り返しているような)



(ま、そんなことはないか。季節も暑い寒いも変わってるし、そんなことないわ。なんで僕は最近こんなSFチックなことを考えてしまうんだろう。たぶんなんかの主人公になりたい願望なんだろうか。こんな、末端の端くれの人がなんかの主人公になれるわけなんてないってわかってるのに、妄想だけは捗る。お、12時だ、とりあえず休憩だ。行ってしまえ〜。)


「休憩行ってきまーす!」


(さぁーー何食べようかな。カレー、牛丼、ロースカツ弁当、、高い……本当に高すぎる。物価が高い気がする。やっぱりカップラーメンだろうか。悩むなぁ。昨日は何食べたっけ?…………………あれ?

昨日ってあったっけ?)



(昨日、、、カップラーメンだったような気がする。カレーにしよ、安いし。あ、プリペイドカードの、残高もう少しだなぁーチャージしなきゃー)


「お願いしますー」

「あらー今日これだけ?」

「お金ないんすよ〜」

「え〜、いっぱい食べないと〜」

「はは、そうですねぇ〜」


☆レジ係員は、使用した額と同じ額をチャージし、誤差がないようにする。


「はいよ。」

「ありがとうございます〜」


(あーー疲れた。まだ昼か。休みの日ならもう17時半くらいになってるのにな。はーー疲れた。疲れた疲れた。みんな元気かな。同期もそうだし、あ、エレベーター開いた。なんだよ、、乗ってくるのかよ。急げよ。まじで。こちとら1分1秒……)


「……すみません〜」

「いえいえ!とんでもない!!

何階ですか?

4階?ですね!かしこまりました!」


(親子連れか、いいね。結婚、、、結婚かぁ、、。)


「ねーママー。どうしてママと2人でエレベーター乗ったのに3人なのー?」

「…………ごめんねぇ、お兄さんいてごめんねぇ、ママと2人が良かったよねぇ〜」

「ふーん、」


(なんだよ、このクソガキ)


「はい、4階ですね!」

「ありがとうございます〜、ほら行くよ」

「お兄ちゃんバイバーイ!」

「え、あ、バイバイ……」


☆エレベーターの扉が閉まる。


(ごめん、さっきの訂正、天使すぎる。

可愛いかよ。え、待ってめちゃくちゃ可愛いやん。待って。好き。今日頑張れる。待って、え?今、待ってって何回言った?まあいいや。カレー食べよう。え、美味い。いつもより美味しく思う。どんだけ幸せなんや俺〜。、、、、、、

なんて、この幸せも一過性なものなんてわかってる。突然の虚無、入るんですけども〜。

食べたら眠くなるしね。はぁー、机に突っ伏そうか。……幸せなんて長続きしない。幸せって思うだけ無駄って思っている、なぜならどうせ5日死ぬのだから。そう人はいつか死ぬ。終わりを迎える。その事に対して恐怖に怯えて眠れなかった高校生の頃はもう過ぎたけど、決して拭える問題ではないから。)


☆これは個人の価値観です。決して死を楽観視しているわけではありません。むしろ、死を今すぐに考えなくても良い位置にいるにも関わらず、極端に考え過ぎてしまった結果、このような思いが綴られているのだと思います。なので、もう一度、希望的な部分にシフトしようと思います。ネガティブなんて、必要ないので。


(でも、なんだかんだ今と継続して生きている事には変わりないか。よし。どうせいつか死ぬんだし、考えても無駄なことは考えない。よし!!!オールオッケー。)


(一瞬で休憩終わった。怖すぎ。ご飯食べてスマホ見て、少し目を瞑ったらもう60分。怖いなぁ〜も〜。作業場に戻る。今日も割と暇だな。とっとと仕事終わらせて帰ろう。夜ご飯何食べようかな。)


「お昼何食べた?」

「あーーーー、あ?えーと」


(え、お昼何食べたっけ、、?え、やば、なんだっけ?夜ご飯何食べたいかじゃなくてお昼か、、、辛かった気がするがぁ、、!)


「………カレーです。」

「おいおい、その若さで物忘れかい?」

「いやード忘れですかねぇ、はは。」

「じゃあ俺も休憩行ってくるからね」

「あ、行ってらっしゃい!」


(もー高橋さんも人が悪い。何食ったかなんて唐突に聞かれるもんだから忘れちゃうよ。なんか前にも聞かれた気がするな。その時も答えられたか覚えてないや。前いつだっけ?カレンダー。んーーーー、何月何日だ、、、?やっべもう全然覚えてない。あーこの日先輩と会った気がする。あれ、こんな最近だったっけ?なんかもう数年も前のような気になるなぁ。時の流れが、1年が、早くなる。これがまさしく、ジャネーの法則じゃねー?、、はは。早いなぁ。あっという間に歳をとり、いつの間にかこの今が過去になるんだろうな。変わりない毎日が、少しずつ積み重なって、人生になるんだな。)


(ねむぅー、眠すぎる。きついきついきつい。何より眠気に耐えながらする仕事が何よりもきついかもしれない。1秒、1秒、、、はぁ)


(でも、きっと、恐らくこんな風に考えたり悩んだり、解決して生きてるってことを実感すること自体が生きることなのだろうなと思う。僕は頭の中で希望を沸かしたり、絶望を孕んだり、何度も繰り返してごちゃごちゃになるけど、きっとそれがたぶん僕というものを現すしるしのようなものなのだと思う。帰りにはMr.Childrenの『しるし』でも聴こうかな。はぁ、音楽聞きたい。眠い眠い。zzzzzz.....なんで眠たい時ってZを使うの?教えて、有識者〜!)


「お疲れ様でした〜!明日もよろしくお願いします。」

「そういえば明日って何かイベントってありましたっけ?」

「んーん、何もないと思うよ。」

「そうですか!わかりました!明日も普通の日ですね、」


(高橋さんいいなぁ、もう帰れるのか〜。ま、俺もあと15分〜。


 …………最後にイベント、というか、なんか楽しいって思ったのっていつだっけ?相当前のような気がする。心が弾むという体験をしたのがもう随分と遠い気がする。まだ20代のはずなのに、心だけが老いている気がする。20歳の頃はもっと若かった気がする。精神的にも肉体的にも。仕事をしている年数が増えていって学生だった頃が遠くなっていってから、老いを意識するようになった。そろそろ帰るか。)


「自分も上がります。お先に失礼しまーす」


☆お疲れ様ですと各所から返事が返ってくる。


(考えても仕方ないことを考えるのは僕の悪い癖だ。自分で変えれないことばかり目についてしまう。柄にもなく気分は落ちる。元気はきっと演じているだけでこれが本来の僕なんだ。情けない!出来ない!ことばっかり。出来ること褒められること賞賛されることがあっても、それら全部が他人にできること、たまたま上手くいっただけ、別に大したことではないと否定する。否定の感情はとても楽だ。自分を傷つければ良い。誰かが傷つくくらいなら自分が傷付けば良いは何も優しさではない。なんなら最大級の、この上ないくらいのエゴイストだ。人間はもっとみんな良い顔をしたいはずだ。傷ついている人がいる事実はそれを完全に潰してしまう。自己犠牲は逃げだ。甘えだ。なんてやつだ。だからこそなのか、僕は僕が嫌いだ。もういっそ死んでしまえばいいのか。夕方の帰り道。暗くなる前。分かってるぞ。僕は。僕はやっぱり特別だ。だっておかしい。繰り返している感じがする。説明できないし誰にもいえないけど繰り返している。明らかに僕の思想は操作されている。負けないぞ僕は。いつかこの世界の真実を暴いてやる。絶対だぞ)


☆少し強力なやつ。


(はわー。もう最近、、歳なのかな。さっきまで何考えてたか、その後何をしようとしていたか、忘れるようになっちった。忘れられるということは大したことじゃないはずだ。ここんとこ本当にバカになった気がするな。そもそも頭は良くないすけどもね)


(ただいま〜と誰もいない部屋に言う虚しさたるや。結婚とか出来るのかな。子育てとか出来るのかな。理想の父親というか、こういうことをしたらダメ!とか良くない!とか分かってるけど、ほんとうに良い父親になれるのだろうかって考える。結局、怠惰で傲慢でその場限りの面倒臭さ、気分でどうにかしてしまいそうな気がしてる。未来が怖いってこのことか。あ!ただいま〜って言っただけでここまでもうそう広げてしまうのか、怖いな。さーて、飯だ飯だ。考えても仕方ないことは考えないぞ〜。夜に考えたら病むし、朝考えても病むし、ダメだこりゃ。)


(電子レンジでチンをしてチンチンのご飯を食べるぞー。今日は卵かけキムチご飯にしよ。晩御飯とは思えないって?わかる。でもいま食べたいって思ったものを食べるのが、わたくしのモットーとかいうやつなんでね、はい〜。いただきマックス〜。)


(美味。間違いなく美味。なんか、youtubeでも見ようかな。飯テロ動画でも見るかぁ〜。おっけ、検索。。。えーーー、、

エ、ロ、どう、変換、動、が、画っと。

わぁ〜、おれ飯テロ動画探してたのにエロ動画見てるぅ〜。でも、食べながらは気持ち悪いからやっぱり飯テロ動画だな。おっさんがバクバク食う動画、欲望に忠実な感じがして好きなんだよね〜。再生再生〜)


(1人のごはん。好きなもの、食べたいものを食べられるし、誰にもなんにも文句を言われない。ふぁーしあわせ。まあ、健康って感じが、あんましなくなってきたかな。たまに気を遣って野菜を食べるくらいしかしなくなった。だからかな。誰かと暮らすことにささやかな憧れがあるのは。)


(野菜も魚も食べなきゃダメでしょ!って言われないことに慣れてきたからだな。あれのありがたみを知り始めたのは。戻れるならたまに子供の頃に戻りたい。何も考えずただ遊び、家に帰り、帰ったらご飯とかお風呂とか用意されてて何もしなくて良い、ただ遊んでれば、生きてるだけで良い。あの時もそうだけど、今この瞬間の有り難さというものに気づけたらどれだけ良いことか、人間って愚かだなぁ〜、僕もみんなと同じ普通の人間なんだなぁ〜。)


(満腹です。もう何も考えられませぬが、ここで私は偉いのでルーティンをします。僕はすっげえ人間だからです。ええ、間違いなく。そのままでもとてもかっこいいのに、さらにかっこよくなります。僕はモテモテです。頼む………………いつかほんとうにモテてくれ、、、俺が、)


☆男は柔軟を始める。


(おいっちにー、おいっちにー、

……いやー、にしても僕ちんは体が固い。本当にかったい。なしてこんな固いんだろうか。骨盤なんだよなぁ。骨盤に板がある感じ?なんだろう。本当に板だったらどうしよう。なんの板?

金属?鉄板?僕の身体ってなんか変なのかな。例えば、なにかいろんなものが埋め込まれてたり、、、)


☆思考調整委員が記憶を飛ばす。


(身体、固いなぁ。骨盤周りだなぁ。やっぱり金属的ななにかなのか?


☆思考調整委員が再度、記憶を飛ばす。


(んーー骨盤、、、骨盤、、、が曲がらない、まるで板みたい、、板?金属?)


☆思考調整委員


(骨盤痛い、まだ柔軟してないのに。

ん?骨盤?なんだか、板)



(骨盤)



(身体固い。………………骨盤…)



(こつ……)



(…………なんか、繰り返してない?)


☆強め。


(…………………?なんだかわからないけど今日はもう柔軟は良い気がする。やーめよ。)


(腕立てして腹筋して、、インナーばっかだな。有酸素運動しなきゃ。でも家から外に出て運動するという行為へのハードル高くないすか?ねえ?世の中の世間一般の人たちよ?そう思わない?ねえねえ?Twitterで聞いてみようかな?よし、そうと決まれば。…………

いや、恥ずかしいな。うっすら呟いとこ。あんなのね、いいねが欲しいだけの承認欲求満たすためのアプリですから!!!でもこれ呟きだから!独り言だから!許されたい。許されます。はい、許された!おっけ!よし!まあ、こんなの思ってるの誰かにバレたらもしかすると炎上しちゃうしね、承認欲求満たすためだけのアプリとかって言ったらね。思うのは自由ですからね、それを発信するか否かですから。ねぇ?)


(ふぅ、、、寝るか。眠いし。)


(僕はきっとただの人間だ。しかし、もし、本当にもしもなのだけど、僕がなんらかの実験にまきこまれていて、僕以外の全ては僕を監視しているとかだったら面白いな。ハハッ、まあそんなわけないか。でも思ったんだけどこうして思ってること、考えてることとかが筒抜けになっていてそれを題材にした映画とか作ったらスッゲェ面白そうだな。人1人の思考的なタイトルになって、僕はその主人公!でも僕程度の思考で面白いか?そもそもオチはどうしようかな。いやでも待て、ここでみんなが驚くようなそんなオチを考えたら激震が起きるな。芸能界からのスカウト。超人気有名人と出会えたり、、、そうだ、アレがいいな。やっぱりハッピーエンド、勧善懲悪だよ。だっていまだに戦隊モノとか昔のポケモンとか見ても面白いもん、やな感じ〜〜って!よーし、楽しいな。毎日。寝よ。)


☆男は布団に入る。鼻がむずむずしティッシュで鼻をかむ。そのゴミを遠くのゴミ箱に向けて投げる。なんと、一発で綺麗に入る。男は少しだけ良い気分になりゆっくりと微睡む。


☆YouTubeで2時間くらいの好きなゲームのまとめサイトを探し、垂れ流しする。流しながら寝落ちする予定。


(本当にそうだろうか。僕はどんなふうに生きているんだろうか。ただ毎日を繰り返して、やがて年老いるだけなのだろうか。僕の妄想にもおつか終わりが来るのだろうか。幸せなことは全て妄想のままなのだろうか。)


(いや、そんなことはない。いつか。いつか何かが起きて、僕は何かと出会う。蜘蛛の巣を張るだけじゃダメだ。行動だ、思念だ。覚悟だ。そうすることで、やがて、そして、生活が変わり僕もどこかへ行き……zzzzzzz )


(zzzzzzzzzZZZZZZZZZZZ)


☆始めに戻る。また、同じような1日を始める準備。思考調整委員は、対象が寝ている間に、何事もない日を繰り返させるため、物を戻し補充し、減らし、記憶をちょうど良い具合に調整する。また何事もない1日を送らせる。ゴミ箱を少しずらしてしまい、ティッシュのゴミが溢れてしまったことには気づかないまま、帰ってしまった。しかし、さほど大きな問題ではなかったため、そのまま放置することとする。電気はつけっぱなし。

 翌日も実験の継続、成功を祈り、我々も夜を過ごす。我々は、毎日に変化のない男の観察という、何も生産性のない業務に意味を探している。自分自身ではなく、国のため、人のため、未来のためという曖昧なものへの答えをこの実験を通して見つけていこうと思う。


(きっとそれが、


「生きがい」


とか、そういう名前なんだと思う。)











 おわり。






あとがき


 (この作品を通して自分の思考を分析するという日々を送りました。自分にとって毎日はもちろん継続していて楽しいことがあったりあまり嬉しくないこともある毎日ですが、楽しいことを待っている少しウキウキな日々と、憂鬱な日々(例えば会社の試験の日だったり、友達と遊んだ日の翌日だったり)の自分の思考の違いが面白くてそれを書いたらどうなるのだろうと思い書いた本です。僕自身、気分というものに、もの凄く左右される人間……まあ人間は大概そうかなとも思いますが、周りに影響されることが人よりも多い人間だと思ってます。この作品が、実際にどんな風に読まれるのか僕自身とても気になっています。

 平凡で人と違うことに憧れを持っている男の思考回路を赤裸々に書いたものって前例はないと信じつつ、でも先駆者は絶対いるよねって思ってます笑

 くだらない思考(特に下ネタ等)は実際に僕が考えたことばかりです。幻滅するくらいキモいでしょう?(笑)僕は周りの人よりも特に性に敏感なのかもしれないと思いました。実際、ここに書いた以上のことも考えてしまったりします。妄想癖が強すぎますね。それがあるから小説も書くようになりました。だからこの作品は、ある意味、自己紹介という側面も持ちます。

 また、今までは短編でいかに短く心に残る文章を書けるか、に憧れを持っていました。今でもその憧れがありそのような作品もまだまだ作ると思いますが、長編作品を読み、伏線が回収されたり、いろんな設定が後々に生きてくるというものに奮い立たせられて、文章が長くなってきました。短い文章が好きな方多くいらっしゃったらすみません。しかし、欲を言えばどちらの作風も愛していただけますと、幸いです。

 僕はまだまだインプットが少ないなぁという感じがします。世の中には一生で読み切れないほどの本がありその中から、我々読者は、自分が興味を持ったものを選んで読み、自分なりに思考を巡らせ、感想を持つ。そういった具合ですよね。その体験がどうも僕は少ない。長文は引き込まれないと、読めなくなりました。恐らくこの作品と似たような作品もたくさんあると思います。

 だから、僕自身も気づかないようにしています。この作品と似たような作品があったとしても。自分がこの世界で平凡な人間ではないということも。僕は今も誰かに監視され続け、この小説を生み出してしまうことは、予定通りだったということも。この世界にこの小説が、例えばnoteやカクヨムというサイトに2025年の2月の終わりに投稿されることが始めから決まっていたことも。気づかないように。そうすれば僕は特別だけれども普通の生活を送ることができる。実験体として全うすることが、あぁ、玄関のドアがガチャガチャと、、読者にはやっぱりバレるんだ。普通の実在している平凡な人間だって。いや、だってさ、言い訳に聞こえるかもしれないけど、僕はやっぱり周りに比べて不遇で運が無くて……あ、ドア開いちゃった。)





☆この度は、本作品を読んでいただきありがとうございました。[木田]

☆読んでいただいた皆様に感謝する。[木田]




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