-星の在処-

ran_

序幕- 追憶のカケラ


朝日が昇る、鳥の囀りや森の音、風の音


ポロン ポロン


次第に合わさり

素敵な弦のかなでが風にのる


-ここは聖都ニブルヘイム。

光と闇 《英雄》が誕生した始まりの都市

半世紀続いた大戦が終わった場所

不毛の土地は今は昔


中央に位置する城は選りすぐりの造形士が集い、魔法と建築の集大成。

それは永遠に朽ち果てはず想いを込める


「他者を奪わず」 「侵略せず」

「他者を守り 誇りを守り 意思を護る」


月桂樹の枝を其々が剣に見立て

希望の光が天へと注ぐ

-ローリエの葉と星の印を胸に彼等は誓う


それは遠い遠い記憶の中に


-------歌い手の独り言---


満月の夜 星空の元で大樹は白く輝く

遠くからでも見つけられる様に


見上げる流星が まるで涙の様


誰かが泣くと風が雫を拾う

あと一歩、風が優しく背中を押す


聖樹を囲い込む様に作られたその城は

こう呼ばれる《センツァ・ローリエ》


街を展望できる展望台の石碑

-小さな星(レグルス)ここに眠る


石碑は倒れ静かに眠る

風化を防ぎ 雨や日差しから守られる

忘られた誰かの記憶と名前


それは今では絶好の休息処

誰かの想いを届ける場所になっていた


「妬いちゃうよ 全く」

-さて、僕に出来ることを今日もしよう


そんな言葉を心でつぶやく


大切な一張羅の帽子を晒して吟遊詩人は塔の上、城を見渡し楽器を取りその場を後にした。


『風と共に美しい奏でが今日も舞う』


彼等の記憶を辿る唯一のしるべを載せて



歌曲-----astar 星の旅----


-花弁が舞い 芽吹く頃

ひらり、ひらりと風になる

木漏れこもれびの 巡り巡るそのときに


何もいらない、見上げる空

きみはいない


-この世の全てはちっぽけよ


目覚めた世界は色が無い

醒めない夢 悪夢ようで劇よう

ああ神よ、父よ その仮面に何を見る


-巡り巡る この風が 

夜空を見上げ迷わぬように 高く高く手を伸ばす


巡り巡ったたその場所で 

あなたを待とう


瞳をあけるその時まで


-----(詩編 星空のアストラ )





【名無しの手紙】


こんにちは、こんばんは

あれからどれだけ経った?

そろそろ咲くよ 懐かしいな...


--解読不能


---

《それは時に熱く、氷より冷たい》

《それは宝石より輝き 何より甘い》

《それは目に見えず 確かに在る》


気付いた時にはもう遅い 

剣より強く とても脆い

-いつだって初めてだから


---


あのね 生きる事 死ぬ事も出来ないの


...居ない わたしは誰?


(アスティ、アストレア?)

もうわからない。思い出せない...


アストレアの名を継いで

伝わるの色んな感情、視線、輝きが


昔みたいに笑いたい、泥まみれになって

全てを捨てて脱ぎ捨てて


---。 まだ、素敵って言ってくれるかしら?


(違う、違う...書けない)

だって居ないもの、ずるいよ


-解読不可が続く



---ごめんなさい。


アスティは長い眠りについた。

きみを ずっと見てた、私は女神アストレア


種族同士が争いを始めました...危険

護りたい場所 大地が仲間が


---憶えてますか?

(月桂樹のあの場所で出会った時のこと)


-黒く塗りつぶされ解読不能が続く-


もう、残された時間は殆どありません。


剣よりお前は...

わたしを仲間も聴くのも歌うのも好きだった

(あの子のままで世界を一緒に旅してたら...)


-みんな幸せだったかしら?


仲間は...殆どこの地をこの世を見捨てたわ。

(残った者は覚悟を決めた)


もう---の事 誰も知らない。

お前の事も忘れるだろう

思い出も、場所も、景色も...


この力を使ったら、わたしも失っちゃう


でも-きっと怒られる。

-全て奪われちゃうは嫌だと...そう思う


----


「「だから-戦うね」」


2人のそんな声がした


-----

真実は 残酷だ。

知ってその手は何を求め選ぶ

-----


霧が晴れ 戦場に 雨が降る 歌が届く


長きに渡る戦乱の日々は終わった

雲から覗く虹の軌跡 誰もが目を奪われ

武器を置く


『その歌声は天にも届く』


-その涙は大地を癒し 森に、湖、花になった


歌紡がれ形が残る


-満月の刻 月桂樹は一輪の銀色の花を咲かせる

創世より咲かない一輪の蕾


-月明かりの中で

ある日の夜 アストラは迷子になりました

闇に隠れて仮面の中でシクシク泣きます


名前の無い少年と出会います

最悪の出会いでしたが

必死で慰めようと沢山の事を話します。

全てがえるアストラは馬鹿にします


争いを好まず剣を持たず夢を持つ少年

置き去りにしても、邪険にしても


その場所に-不思議と居るのです。


いつの間にか月夜の中で話す

その夜が待ち遠しいと思う様になりました


朝日が昇り 彼を待ちます


ある日、少し早くその場にあった彼女は

リュートの様な不思議な音色を聴きました


言葉よりもっと、深く何かを感じます。


自然と歌が流れます

まるで初めから知ってた様に


♬ --♪--


ハミングの様に歌詞はなくけれど歌が響きます


虫や鳥、森が伴奏を


背中合わせに少年は楽器を奏で歌います


するとどうでしょう。


霧が晴れ、

瞳に一筋の星が流れます

淡く星の様に静かなこの光


空を見ると輝く満面の夜空が広がります。


名前の無い少年は

彼女の小さな星になりました


終わりがあるから、その瞬間を心に刻む


『この花は永遠の愛を誓う』


そんな大切な心を忘れない為、

彼女は無数の星の輝きを守ります


-人を愛し星になった女神様


挫けそう 涙を枯らし心で泣いてる


いつでも変わらないその淡い輝き


「君が風になったのなら-

わたしはこの夜空を独り占めしてあなたを待とう

迷って帰り道が分からないとき見上げてごらん」


-----童話 「星になったアストラ」 抜粋---



-道化の様な声がする



《あぁ...世はまるで-劇曲であり夢のよう》


ああ、人は何て 愚かなのでしょう。

物語を変えより良く作り 感動を生む

なんとおぞましく悪夢のように


生を与え役を与え 誰を演じる

劇場に上がれぬものは 何を見るのでしょう


真実は万華鏡 何を望み壇上へ

終わりが見えるその曲を

何故-演じのでしょうか?


全てを知り その手は何処へ

仮面で隠す涙を知って 


さあ、あなたもこの舞台へ歩むのです


---詩編 仮面舞踏会 抜粋---


眼鏡をかけた1人の存在が話し終える


「おや、、?(静かにくすりと笑う)


 ....いいでしょう、さて、    

 何から話しましょう。そう、あれは...」



-遠くで鐘の音が僅かに聞こえて来こえる


「おや? どうやら幕開けのようです」


タキシードとシルクハットを被る男性は

微笑みながら手招きをする、


-----


今回の表情記号①

andante-アンダンテ  


それはゆっくり歩くように


⚪︎作者解説


早く、遅くとも違って心臓の鼓動に近いテンポ

(moderatoやadagioの中間と言われますが)

大切な人と波長を合わせて歩むときに近いです


好きな人と歩むとき 

子供の頃両親の歩幅と違うそんな時とか


皆さんも思ったりしませんか?


お互いの歩幅を気にしてあわせる感覚

後ろから見える背中に


この時間が終わるのが切ないとも感じて


優しく大地を踏み締める時

右手をそっと握って


そんな感覚を大人になると忘れます。

久々に楽器を弾いて思い出しました


初めての物書きで読み辛いですが

読んで下さった方、ありがとうございます。


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