寒波。雪。ラーメン。

白川津 中々

◾️

あまりにも寒すぎた。


寒波襲来。ドカ雪。

都会の氷雪なんざ埃みたいなもんやろと舐めてかかっていたら異常気象の洗礼。比較的積もる地域に住んでた俺がドン引きするレベルでガンガンにコンコン。気温も一気に氷点下。暖房器具は脆弱でクソの役にも立たない。窓の外は吹雪である。寒過ぎのため鼻水が無限に出てきて呼吸も苦しい。クソだ。


「ラ、ラーメンを食べよう」


食事は先程済ませたばかりだがこう寒いと腹が減るのも早いし、温かいものを食べたくなる。インスタントラーメンにたっぷりのごま油とにんにくと胡椒をかければ芯に熱が入るというもの。その勢いで布団にくるまり寝てしまおうという算段。もう起きているのも辛い。ほら見てくれよ部屋の中なのに息が白い。ケチって安普請にしたから防寒機能が終わっているのだ。夏は暑くて冬は寒いとかいう最悪なワンルームで月5万とかマジで居住環境が破滅的だなと文句を浮かべつつガスコンロ点火……しない。嘘やん。ガス代が未払いだったのか? いずれにせよ、これでは風呂も入れない。絶望。寒さを凌ぐ手段が消えてしまった。なす術なくベッドに入る。瞬間、飛び上がり、奇声。なんと布団が凍っているのだ。そんな事あるぅ? やむを得ず、着られる服を全部着て処置。全身鏡に映る着膨れが情けない。ちくしょう、どうしたものかと嘆いているとマッチを発見。クラブでもらったものだ。なんという僥倖。これで火をつければ多少の暖は取れる。箱から一本取り出し、擦る。瞬間、爆破。どうやらガスが止まっていたのではなく単にコンロが故障していただけのようで、弁を捻りっぱなしにしていたからプロパンが漏れ出ていたのだった。鼻が詰まっていて臭いが分からずやらかしてしまった。爆破によって部屋の屋根に風穴。鉛空がこんにちは。最上階が仇になったなと思ったが、上に誰か住んでいたらそいつは死んでいただろう。誰かを巻き込むよりは余程よかったと切り替える(そもそも俺が無事なのが奇跡的ではないか)。

とりあえず座椅子に腰かけ、入り込む雪を眺めつつこれは敷金で賄えるのだろうかなどと考えながら燃えているカーテンの火を使って紫炎を燻らせる。


……あ!


火があるということは、念願のインスタントラーメンを作れるということ。地獄に仏。早速カーテンの火を種にしてキャンプファイア。鍋に水と麺を入れ沸騰。粉末スープを入れれば完成。そのまま箸をつける。


「……美味い」


麺を啜る度骨身に染みる。雪降る寒空の下、ようやく暖まることができたのだ。もうこれは完全に俺の勝利だと確信。遠方から近づいて来る消防車のサイレンが、まるでファンファーレのように聴こえた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

寒波。雪。ラーメン。 白川津 中々 @taka1212384

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ