毎日お仕事楽しいです

白川津 中々

◾️

ずっと気が休まらない。


友人のツテでベンチャーに入社してみたが毎日が不安でしょうがない。


日々のノルマはあるわ経営の先行きが不安だわ休みはないわ長時間残業だわ金払いは悪いわでまったく生きた心地がしないのである。元々保守的な性格なくせに怠惰だからどこにも正規では雇ってもらえず、このままでいいのかなーなんて思っていたところに「人足りないから来なよー」などという口車がベタ付してきたわけである。成果報酬という悪魔の言葉に連れられてやってきてみたら連日連夜のテレアポ三昧。「お世話になっておりますインターネット回線についてお困りですよね」なんてアホな口上を日に何百とこなさなくてはならず、制約までいかなければインセンティブはゼロ。労働基準法ガン無視の安月給でこき使われるという無念極まりない現実に陥っているというわけだ。口惜しや。


こんな会社辞めてやる。


そう何度思ったことか。しかしながら辞められないのはこの通り。他に行くあてもなく金を稼ぐ手段もないからだ。


世では「ブラック企業で働く奴が悪い」「バイトの方がマシ」という風潮だがとんでもない。気楽にやりたいとか一財産あるとかでなければ余程でない限り正規雇用の方がいい。時代の流れでフラフラしていても許されるみたいな雰囲気になっているがそれは罠だ。長くフリーターをやってきたからこそ分かる焦りと後ろめたさと無力感。バイト先で皿を洗っている時、酔っ払いの相手をしている時、休日に無気力でいる時、常に将来という得体の知れない化物の鼻先が俺に生暖かい風を送るのだ。落伍の臭いが体にしみつき、社会から爪弾きにされる心許なさといったら! 


そんな経験はもう二度としたくはない。だから俺は働くのだ。何がなくとも、生きるために。


……気が休まらないのならバイトと同じではないかというのは、まぁ、それはそうである。


ちくしょう、労働万歳。

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