猫の初恋事情

　寒くて体が動かなくて。悲しくて泣いていました。ふいに、目の前に大きなくりくりした目が現れて、わたしはぐいっと持ち上げられて。わたしを助けてくれたのは、かづま君と呼ばれている男の子です。寒くて震えていたわたしを、服の中に入れて温めてくれました。
　優しい男の子に拾われた、ハチワレの子猫。黒くてハート形の鼻の左右に黒いほくろがあって、しっぽは先玉。かづま君の事が好きすぎて、好きすぎて。想うあまりに、どうやら人間の女の子になってしまいました。