10は2

バンブー

ザコザコお兄ちゃんをギャフンと言わせたい♡

「えー♡ ありえないありえなーい♡ 10が2とかありえないんだけどー♡」


 お兄ちゃんはバカだ。

 今お兄ちゃんと一緒にアプリゲームを作って売ろうと計画しているのだが変数を入力する所でお兄ちゃんが変な事を言ってきた。


「いや……そこで10って入力すると2になるんだよ」

「はぁ~あ♡ お兄ちゃんバカでしょ? 10は10だよ♡ なんで2になるのか意味わからな過ぎー♡ きんも♡」

「2進数だよ……」

「ニシン?」


 意味わからな過ぎておもろ!

 理系だけどお兄ちゃんバカでニートだから、きっと頭おかしくなっちゃったんだ。


「とりあえず、10って入れて起動してみたら?」


 言われなくてもテストプレイしますよっと! キャラが演出で10回ハンマーで叩く動作をするやつだ。

 こんなの誰だって出来る初歩の初歩のプログラミング。

 テストプレイを起動する。


「お兄ちゃんが間違ってたらコンビニでアイス10本買ってきてね。あ♡ お兄ちゃんニートだからお金無いんだ♡ ザッコ♡」

「お前が間違ってたらアイス買って来いよ」


 お兄ちゃんが間違っている事を証明して、自分がどれだけ使えない男としてザコ◯◯◯か思い知らせてやる♡

 けーっけっけっけ!

 キャラクターがハンマーを振り下ろす。


 ピコン、ピコン!


「あ……あ、ああ……あ」


 ウソ……

 2回しか……叩かない……


「ほらな。因みに10進数の10を出したい時は、2進数だと1010って入力するんだよ」


 お兄ちゃんがカタカタと入力してテストプレイを起動すると……


 ピコン、ピコン、ピコン、ピコン、ピコン、ピコン、ピコン、ピコン、ピコン、ピコン!


 ハンマーを10回叩いた。


「ああああああああああああああああ!」


 ニートのお兄ちゃんに頭のできで負けた。

 アイデンティティ崩壊。

 お兄ちゃんよりこっちがクソザコ確定!


「あ……アイス……買って……きます……」

「いいよ、別に」

「え?」


 お兄ちゃんはこっちを見ないで続けた。


「俺も言い過ぎたよ……ごめん」

「お兄ちゃん……♡」


 トゥクン♡

 やっぱりお兄ちゃん甘すぎ♡

 絶対2人でゲーム完成させようね♡


「ちょっとアンタ達! 夜中に騒ぐんじゃないわよ!」

「まんま!?」


 突然ママが部屋の扉を蹴り開けた。


「まったく、402で引きこもって何やっての! 働けニート共!」


 えへへ♡ ママに怒られちゃった♡

 てへペロ♡





        おわり

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10は2 バンブー @bamboo

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