その日は二度寝から始まった
西しまこ
フレンチトーストはブランチです
「今、何時?」
「6時」
「……今日、土曜日だよね?」
「うん」
「何もないよね?」
「うん。もう少し寝よう」
「そうする! 子どもたちも寝ているし」
わたしと夫くんは幸福な気持ちに包まれながら、二度寝しました。
朝の陽射しの中、すやすやと。
ああ、二度寝出来るって、なんて幸せ!
ふと目が覚めると、夫くんはまだ寝ています。
わたしはとりあえず、枕元にあった本を読みました。
なんて怠惰な朝! ベッドで読書!
最高です!
しばらくすると、次男くんが寝室に入ってきました。
「おはよう」
「おはよう。目が覚めたの?」
「うん」
「朝ごはん食べる?」
「食べる」
「フレンチトーストでいい? 食べる?」
「食べる食べる!」
「ねえ、そう言えば、卵料理作りたいって言っていたから、フレンチトースト作ってみたら?」
「そうする!」
次男くんと台所に行き、フレンチトーストを作ります。
西さんちでは、休日の朝は高確率でフレンチトーストです。みんな大好きです。
「卵と牛乳と砂糖を混ぜて」
「そうそう」
「パンを切って入れるんだよね」
「ハサミで切ると楽だよ」
「うん。ねえ、10分浸すって書いてあるけど」
「浸さなくても全然平気だよ。全部一回漬け込んだら、焼いちゃえばいいよ。あ、バターで焼いてね」
「分かった」
「全部並べ終わったら、残った卵液を上から全部かけちゃうの。……そうそう」
「いつ裏返すの?」
「裏面にちょっと焦げ目が出来たら」
「もういいかなあ?」
「うん、いいよ。後は裏面も焼いて出来上がり」
「出来た!」
次男と二人で食べようとしていたら、夫くんと長男くんが下りてきました。
「あ! フレンチトースト!!」
「食べるっ!」
夫くんと長男くんは、うきうきと机につきます。
わたしと次男くんは「えっ」と言いました。
……そう。
たぶん、足りないのです。
「まだ寝ていると思ったよね」
「思った思った」
こそこそ次男くんと言い合いました。
案の定フレンチトーストは足りません。
仕方がないので、わたしが手早く作りました。
「しまこちゃん、早い……!」
「それはたくさん作ったから!」
フレンチトーストを二回焼いて、やっとみんなの胃袋が収まりました。
「今日、どうする?」
「ちょっと買い物に行きたいよねえ。ショッピングモールに」
「あ、オレも行きたい」
「俺も」
みんなで行くことにしました。
「ねえ、夜はさ、外食しよう!」
わたしは清水の舞台から飛び降りる気持ちで言いました。
外食はとても高くつくのです。
「わーい! 外食外食!!」
滅多に外食しないので、大喜びです。
「そう言えばさ、〇〇のアイスって、おいしいよね」
「おいしい、おいしい」
「今日、買って来ようよ」
「そうしようそうしよう」
ショッピングモールの帰り道にそれぞれのアイスを買いました。
西さんちでブームのアイスがあるのです。
とってもおいしいのです。
「ねえねえ、今さ、このアニメ見たいんだよね」
「どれどれ。……超おもしろいんだけど!」
帰宅後、みんなでアニメを見ます。
そうして夜は更けていきます。
ある時間になると、それぞれの部屋に行きます。
夫くんは寝室で、ぐおーぐおーと寝ていますが、長男くんも次男くんも、自分の部屋でゲームをしています。わたしはしまこルーム(ウォーキンクローゼットの片隅)で執筆したりカクヨムしたりします。
今日は土曜日。
明日は日曜日。
夜更かし出来る……!!
朝寝坊して、夜更かし出来る土曜日が理想の休日です。
今後は、「フレンチトースト作ったよ」って起こしに来てくれるように仕込んでいきたいと考えています。
おしまい☆彡
その日は二度寝から始まった 西しまこ @nishi-shima
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