第10話 鬼退治

ま、ちょっといつだったかわからなくなった時代のお話。



「なあ、婆さんや。いつになったら出演料が入るんじゃ?」


「爺さんや、出演料はいろいろと面倒くさいのじゃ。気長に待つが吉じゃ。それよりもTVが面白いぞい」


「ほう、国家再生とな。政治家も官僚のトップらも、ほほう、名だたる企業のトップたちも、みんなスキャンダルだらけじゃったのか」


「爺さんや、国のあらゆる組織、団体もじゃ。こんな腐りきった奴らに儂らが払った税金が使われてきたとは腹立たしいのう」


「婆さんや、なんか新しい法律ができたらしいそ。桃の香りが禁止されたらしい。精神衛生的に良くないそうじゃ。それに桃缶も禁止じゃ。これも精神衛生的良くないらしい。ホントかのう?」


「爺さんや。まあ、新しい政府になってあの子供も気張っているのだろうよ」


「婆さんや、政府など表の顔でしかないというのに、浅はかなものじゃて」


「爺さんや、この国の蜥蜴はなんぼでも尻尾が生えるでの。切り放題じゃ」


「婆さんや、蜥蜴もそろそろ動こくとするかね」


「爺さんや、そろそろいい塩梅じゃろうて」


「婆さんや、準備はできとるのかの」


「爺さんや、準備などとうの昔にできとるぞいい」



お婆さんが畳の角をトンと叩くと畳が浮かび上がります。お爺さんが浮いた畳を片手でヒョイと持ち上げる。すると床下には千両箱がズラリと並んでいました。



「婆さんや、よく集めたものじゃの。これだけの砂金があれぼ、どんな堅物の心もフニャフニャじゃて」


「爺さんこそ、松茸場所しっかり調べてあるんじゃろうな。砂金も使い道がなけりゃただの重い砂に過ぎんぞい」


「婆さんや、ばっちりじゃて。外資に食い荒らされる前にチョイチョイじゃ」


「爺さんや、こんなに地下資源が眠っとるとはの。この国もまんざらでもないの」


「じゃ、砂金に物を言わせて片っ端から買い漁ろうかの。昔みたいにブイブイ言わすぞ、婆さんや」


「ああ、また裏から支配してブイブイ言わそうじゃないか、爺さんや」



「金に薬に女に男、酒に酔わせりゃ操れる♪」

「金に靡かぬ者はなし、それでも靡かにゃ薬漬け♪ ヒャッヒャっヒャ」



「ごめんください」


「おや、誰か来たの」

「もしかしてTVかの。局もすぐに支配する予定なんじゃがの」



お爺さんとお婆さんは二人で玄関に行くと、そこには雉村、犬飼、猿錦組の面々と共に桃太郎が仁王立ちしておったそうな。



「鬼島青蔵と、鬼島赤、脱税と贈収賄の疑いで退治する」


「(あ、桃太郎さん、退治じゃなくて『逮捕』です)」


「逮捕する!」




最後の鬼たちが退治、否、逮捕されたそうな。


めでたしめでたし

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

桃から生まれたかった桃太郎 みかん畑 @mikanbatake

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ