黄泉の境界に咲いた、一輪の「りんどうの花」

　夢月みつき様の『黄泉返り～俺らは月詠隊～』は、現実と幻想が交錯するドラマティックな物語。触手に囚われた叶蘭の危機、霊力が低いと自嘲する竜胆来也の覚醒、そして佐渡隊長の冷静な指揮。それぞれのキャラクターが持つ使命感と葛藤が、黄泉の境界に儚くも確かに咲く「りんどうの花」として心に刻まれます。

　人と死者との対話、優しさと戦い、消えゆく魂たちへの敬意が、まるで夜明けの静寂のように鮮烈な余韻を残す一作です。生と死の間で咲いたこの光景は、いつまでも私たちの心に語り掛けてくることでしょ