幼馴染の独り言

 今年になってから、なんかすっごい力がほしいかならばくれてやるちゃん(略して、ちかほし)が接近してきている気がする。

 もちろん、俺もちかほしのことは気になってるというか、幼馴染としてずっとそばにいたから、もろもろの感情を抱くことはある。

 ……たぶん、ちかほしが力を俺にあげたがってるんだろうなってことも。

 でもなー。

 でも、あいつのお母さんに言われたんだよな。

「力をあげるってことは、プロポーズと同義なのよね」って。

 いや、ちかほしのお母さんも、自身の思い出話をしながらだったから、俺とかに対しての言葉ではなかったと思うけど、そう言われたらそう捉えるしかない。

 たしかに、あいつの両親も、そのまた両親も、そのまたまた両親も、どうやら全員力があげた相手と結婚してるっぽいし。

 けど、ちかほし、そこは理解してないっぽい。

 この前なんか、あのステッカー貼ってきてたし。

 あれじゃあ、結婚誰かしませんか、って言ってるのと同じだろ。

 正直、俺だって力をもらいたいし、ほしいって言いたいけど、結婚っていうステージまで一気にあいつを縛るのはなんか違う気がする。

 理解してあいつが言ってるなら、俺も受け止める覚悟も言う覚悟もできるけど。

 どうすればいいのかなー。

 あいつの誤解を指摘するのもいいけど、それはきっとあいつが恥ずかしいだろうし。

 顔真っ赤にして「知ってたし! 全然知ってたし!」とか叫びそう。

 それはそれで見てみたいけど、かわいそうだからやらない。

 じゃあ、やっぱりどうするかって話になるけど……。

 どうしたもんかな。

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力がほしいかならばくれてやるちゃんは、幼馴染に力をあげたい りつりん @shibarakufutsuka

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