第2話 僕は貴女に恋をした。

 僕は貴女に恋をした。


 あれは高校生の頃、部活終わりに友達と楽しそうに語り合う貴女を見たことがきっかけだった。


 当時の僕は何を思ったのか、貴女に告白しないいけないという気持ちが抑えられなくて、いきなり告白したんだ。


 若かったからかも知れない。

 恋人という存在への憧れが僕を突き動かしたのかも知れない。

 だが、気持ちは本物だった。


 それだけは確かだよ。


 初めは真っ直ぐ見つめてくる瞳に吸い込まれそうになり。


 意外となんて怒られるかも知れないが。


 握った小さな手に守りたいと感じ。

 

 抱き締めた時は、何とも言えない愛しさが僕に流れ込んできたんだ。


 この存在と添い遂げたいという気持ちがね。


 子育てを終え、何かとキッチンから小言言う貴女には、もう若い頃のような誰もが振り向く美しさや、可憐さはないが。


 僕を見つめる瞳や握る手から伝わってくるものは、一緒だね。


 もう爺さんになってしまったから、恥ずかしくて口に出したくないが。


 頭からつま先まで、愛しく想っているよ。


 ずっと可愛いままで長生きして下さい。


 かつて美少年だった貴女の伴侶より。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

頭からつま先まで ほしのしずく @hosinosizuku0723

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画