雪女と雪男。なんでそんなに違うのか。「世界はじめて物語」

 この疑問を心に抱いたことのある人、日本人には結構いるはず。
 雪女。雪男。なんとなくセットになりそうなのに、片方は怪談の美女、片方は毛むくじゃらのUMAという違い。
 「雪女の旦那は雪男なの? つり合い取れるの? 美女と野獣なの?」と思わされますね。

 本作はその疑問に切り込んだ物語です。

 主人公が山で遭遇した「美しき雪男」。彼はなんといってもイケメンだった。そして後に雪女の物語と同じく、とあるイケメンと結婚して子供をなすこととなるが……。

 いわゆる「雪女」の物語の男女逆転版という感じに物語は進みます。
 その先で、イケメンだったはずの「雪男」との関係がどうなっていくのか。

 雪男があの姿になってしまった意外な事実。どこか怪奇小説的な悲しさも感じられる一方で、やっぱりネタがネタだけに笑えてしまう部分も。

 文体としては「日本昔ばなり調の語り」となっており、あのアニメを見たことのある世代の方なら、あのおばあさん風の声が自然と脳内に響いてきます。
 そう思っていると、唐突にやたらと俗っぽい表現も出てくるので、そのギャップで不意いつを食らって吹き出します。

 サクっと読める長さでもあるので、手軽に楽しめてオススメです。