語りたがり屋のモノローグ

食いしん坊、万才！

　前回作ったおでんはまだ味が薄かった。

　ここからじっくり煮詰めて美味しく育てていく予定（おでんを煮詰めるという発想が黒いおでん県らしいともいえる）

　さて、書いているものからも十分伝わっているかと思いますが、私は食べることが好きなただの兼業主婦です。……いえ、かつては食べることしか楽しみがないただのデブでした。

　地元の食べ歩きブログやインスタ投稿を読み漁り、行きたいお店リストを作成し「週末はどこに行こうかなぁふひひ」なんてことを考えて生きていました。

　体重も体型も考えたら負けだと思っていました。

　着やせコーデという検索ワードを何度検索エンジンに叩き込んだかわかりません。

　食うな！ 運動しろ！ 痩せろ！ という忠告を無視し続け、欲望に忠実に生きていた私でしたが、ある日ある女性と出会ったことで、そんな生活が一転したんです。

　彼女は健康的な食事をして、そこそこの運動をするだけでもまるで自分のことのように喜んでくれる心優しい女性でした。

　そんな彼女の真心に応えるべく、なるべく間食を控えて食事量も抑え、とにかく徒歩で歩き回りと習慣づけて行った結果、1年で8㎏ほど体重を落とすことに成功しました。

　しかしデブが10㎏落としたところで所詮平均体重の枠に何とか入った程度。

　確かにパンツは1サイズ下が入るようにはなったけれど、デブが微デブになった程度でデブなことは変わりません。

　美容体重になってはじめて「痩せた」と胸を張れるのだとわかりました。

　確かに体は軽くなりました。

　長い階段を登っても息切れをすることもなく、5キロマラソンも楽々完走することができました。

　でも見た目は変わりません。

　というか、もともと顔に肉付きがないせいで、デブってた当時もデブと思われないある意味お得な顔をしたいたので、体重が落ちても「前からそんなだったでしょ？」と思われていたようです。

　むしろデブってもデブったとバレないぜ、うえーい！

　色々と悲しい気持ちが芽生えはしてもそのまま彼女に併走してもらいながらダイエットを続ければよかったんですけどね、このタイミングで妊娠したんでダイエット中断ですよ。

　流石生来の食いしん坊。

　食欲を阻害するようなつわりもなく、美味しくご飯を食べて食べまくって妊婦健診で血糖値爆上がりして指導されたのはちょっとマズったなと思ったけれど。

　色々あって出産後、脳がバグった。

　とにかく食べたくて仕方なくて食べまくったら当然ながら標準体重なんて簡単に超えた。

　だが、脳のバグりってすごいね。

　体重を落とすぞ！ とスイッチが入った途端アホみたいなカロリー制限がスタートしてしまったのです。

　お昼はリゾット、夕食は主食のかわりにところてん、みたいな食生活を繰り返し体重は順調に落ちてきたけれど……。

　ある日ぷつっと何かが切れてしまったのです。

　そこから坂道を転がり落ちるかのように間食が止まらなくなり落ちたはずの体重もあっという間に盛り返して、気づけば元のサイズの自分に戻っていたのです。

　元のサイズまで戻ったら食欲も落ち着いたのでそれ以上増えることはなかったのは不幸中の幸い。

　この無茶な食事制限の時も彼女の手を借りていました。

　彼女はいつも「摂取カロリーが少ない」と泣いていたけれど、お前の言う適正カロリーを食べてたら痩せられるわけがねーんだよ！ と何かに憑依されたが如く低カロリーであればあるほど良いという価値観にとらわれていたんですよね。

　あれは何だったんだろう？

　今は間食を減らすことで少しずつ体重を落として、落ちたことにいい気になって少しずつ増やす日々を繰り返しています。

　もう無理なダイエットはしません、脳がバグってなきゃできないよ！ あんなの！

　っていうか、産後怖っ！

　ダイエットはしていないものの、後遺症なのか食べることに罪悪感のようなものを抱くようになりました。そしてそれはまだまだ続いています。

　だからブログやインスタ、テレビでグルメ番組をやっていても「美味しそう」とは思うけれど、「でもカロリー高そう」「脂質高そう」「栄養バランスのコマが立たないから無理」と思う気持ちの方が強く食べたいと感じることがなくなってしまいました。

　あんなに食べるのが好きだったのに、以前ほど純粋に食べることに喜びを得られなくなってきたように思います。

　それでもちょっとずつ食べたいなと言う気持ちは取り戻せてはいるけれど。

　あの日あの人に出会っていなければ、こんなに食べることに対して苦い思いをもつことなんてなかったかもしれない。

　そう思うと彼女に抱くのは複雑な思いです。

　でも彼女の言うことを聞かなかった私が悪かったので、彼女にそんな気持ちを抱くのはお門違いだとわかっています。

　現在は食べる以外にも書く読む楽しみもあるんである意味救われているのかも。

　皆様もダイエットをするときにはハマりすぎないように気を付けてくださいね。

　私が出会った女性の姿を近況ノートに載せときますので興味をひかれたらそちらもご覧くださいね！

　多分わざわざ見なくても誰のことかぴんと来た人いますよね。

　最後に、体重落ちると寒さ耐性が落ちます。

　普通の寒さで「もう無理、寒すぎ！」とぶるぶる震えていたあの頃に戻り……たいかな、どうだろう？