水の都で交錯する三国の想い、運命を賭けた愛と戦いの壮大な叙事詩
- ★★★ Excellent!!!
重厚なファンタジー世界に完全に引き込まれてしまう作品!
ヴェネツィア風の水上都市を舞台に、神聖ローマ帝国の竜騎兵フェルディナント、フランスの美貌の貴公子ラファエル、スペインの熱血漢イアンという三国の軍人たちが繰り広げる、政治と恋愛の複雑な物語。
特に素晴らしいのは、古代兵器「シビュラの塔」という圧倒的な脅威を背景にした緊張感の中で、それぞれのキャラクターが抱える個人的な想いや過去が丁寧に描かれているところ。フェルディナントと画家ネーリの純愛、ラファエルの切ない初恋への執着など、戦略的思惑と人間ドラマが見事に絡み合ってます。
作者の筆力も相当なもので、水の都の美しい風景描写から、竜騎兵の迫力ある戦闘シーン、夏至祭の華やかな雰囲気まで、まるで映画を見ているような臨場感。長編ですが最後まで一気読みしたくなる魅力に満ちた傑作です。