箱の中は幸せなのか……繊細な描写が素晴らしい、考えさせられる小説
- ★★★ Excellent!!!
キャッチコピーやあらすじから、
「どういう物語になるんだろう」とワクワクしていました。
しかし読み進めて、段々「普通」が呪いのように見えてきて、一番一般的という特別を箱は与えているのだと理解できました。
一般的って幸せなんでしょうか? 箱の中で、外のことを一切考えず、偽りの家族と過ごすって。
私は「幸せ」とは程遠いものだとは思いましたが、「楽」で「安心する」ものだとは思います。普通って何でしょう。それすらも難しいです。
きっと普通なんてないと思います。特別になりたかった「一般的な父」も、きっと誰かの、家族の、特別だった。父はそれだけじゃ足りなかった? いや、他人が「普通」と、父の人生を決めつけるのも、いけないことだと思います。
この小説は、繊細な描写が本当に綺麗で、すごく考えさせられました。なんか、この設定で長編小説が書けそう。面白かったです。