案内〔弐〕.翡翠國

「朱鷺國どうでした?いい人達ばっかだし面白いでしょう?お団子も美味しかったですね〜」

 そう言って彼はふわふわと人が良さそうな笑みで笑う。その笑みに少し心が穏やかになる

 「早速次選びます?選んじゃいましょう!」

そう言ってこちらの返事も聞かずに指を鳴らし御籤を出した。2度目だがやはり慣れない。ガラガラと振られ出てきた棒は今度はこちらから見えるような向きだった。翡翠國のようだ。

 「なんて書いてました?…翡翠國!良いですね〜あそこは冠があるから個々で文化が違って雰囲気も全く違うんですよ〜両方見てまわりますよ!ほら早く〜お手を貸してください!行きますよ!!」

 そう言ってはしゃぐように彼はユウの手を再び掴み、雲から飛び降りた。





 「到着!どっちの冠ですかね?周りに砂が多いんで肉牙冠ですかね」

 そう言われ辺りを見渡すと結構な砂漠地帯みたいでまるで某ででにーの作品の舞台ではないかと思ってしまう。家も転々とある感じで田舎なのではと考えたが奥を見ると街が見えたので違うらしい。

 「ここは都市のすぐ近くですね。確かこの街は肉系の料理が主ですごく美味しいんですよ!僕も種族が種族なので肉には目がないというか……あはは」

「そうだネ〜たかっちはなんでそっち行ったんダ?」

「まぁ神には恩があるので……って獅斗?!お前専属護衛になったのかよ?!」「まぁねェ」

 ……鷹さんの知り合いのようで見た目は色の薄い茶髪にライオンの耳と尻尾、鬣?がふわふわで金色の瞳に瞳孔が縦なのを見てこれがライオンの獣人かと察した。超かっこいいと思うほどには顔が整っていてワイルドである。朱鷺國の方々もイケメンだったがあちらは日本顔のイケメンでこちらはドイツ顔のイケメンである。見た限り周りの男性は大体がそのような顔であった。では草林冠の方々はフランス顔なのだろうか…


 そんな事をつらつら考えていればやっと話が終わったのか鷹が話しかけてきた

 「すみませんユウ様!少々話し込んじゃいました…彼が翡翠さんの所へ連れて行ってくださるので!おい獅斗、きちんと挨拶しろよ」

「へーいへい。どうもユウサン、俺は獅斗ってんダ。

まぁ仲良くしてくれヤ」

 快活な声でこちらに話しかけて来た獅斗さんに目を見てはっきりとよろしくと伝えた。そんな様子が功を奏したのか獅斗さんの気分は爆上がりな様でルンルン気分でおうと返してくれた。



 「なあたかっちとユウっち。腹減ったし先に飯にしねェ?あそこのホットドッグがちょー美味くてよォ歩き食べもできるから食べつつ行こうゼ」

「いいなそれ!ユウ様もそれで良いですか?」

 そう鷹が尋ねるので、元気よくもちろんと答えた。ホットドッグは超絶美味かったしもう一つのポテトも最高だった。



 「ついたぜェここがこの國一番の城ってか塔だナ」

「あぁそういやこの國は塔だったわ……ユウ様、僕の背中に乗ってください。そのまま一番上まで飛ぶんで」「俺は連れてってくれねぇノ?あ〜じゃあ俺は階段走るかァ……だりぃなァ〜」「はいはいガンバレ」

 そう言って鷹は獅斗さんを軽くあしらうとさっさと飛んだ。朱鷺國から戻ってきたときもこの浮遊感があったなとすぐに慣れた体はそんなことをおもってしまっていた。




 「はい!到着しました!……ってうわぁ」

鷹がそう言ったのを見て顔を上げる。そこに広がっていたのは豪華な部屋にキングサイズのベッドでその豪華さとは真逆の様々なトラバサミや斧などの武器が床に散らばっていて歩くのも怖いほどだ。そんな部屋のど真ん中で大の字で寝ている女性が一人。彼女が葉月翡翠さんであろうか?綺麗とは書いてあったがこの状況じゃなんとも言えない。これが残念美女というものか

 「これじゃ獅斗は通れないっすね…一旦ベッドまで運びますね!」

 彼はそう言うと上手くトラバサミなどを躱しベッドへと降り立った。屋根が高いのか、彼が立っても天井に頭が当たっておらず凄いなと思考の回らない頭はそんなことを考えていた。



 「翡翠さん?客さんっすよ〜起きてくださいっす。そろそろ獅斗も来ますよ〜ぶん殴られるっすよ〜」

「げっそれは勘弁願いたいって…んん?お客さん?この超絶美少女にか?どんな奴か見定めてやろう」

 そう言うと彼女は桃色の髪をかきあげ体を起こしてこちらを見た。確かにこれは服装と髪型がしっかりしていれば誰もが見惚れる美少女だろう。だが状況が状況のため、普段は可憐な沈丁花の花であろう彼女も今はまるで鋸草の花である。サングラスは必要なかったなと思い懐にしまった。

 「これはこれは読者ちゃんじゃんか!私は葉月翡翠だ!それより…グラサンかけなくていいのか?この美貌に惚れてしまうぞ〜?……え、いらない?こりゃすげぇや!あっはは!最高かよ!」「えぇ…ユウ様ほんとに大丈夫なんですか…?…………今までの彼らよりやべぇな…」

 そんなに凄いのだろうか…先程も言ったように今の彼女は勇敢さ強靭さであって可憐さはあまり感じられない。もしや己の考えが可笑しいのかと考えるが、やはり顔を見ても惚れるほどでは無い

 「こりゃ無理してるわけじゃねぇガチだ!すっげぇよ読者ちゃん!いや…ユウちゃんと呼ぼうかな!最高だよ本当に!なあタカ!オマエもそう思うだろ?」「あ〜…そうっすね。ユウ様ガチやべぇっす」

 ……不思議だが考えるだけ無駄だと思い話をそらすため腹が空いたと鷹に言えばじゃあ次の護衛のオススメの店に行きますかと返してくれた。


ちなみにこんな会話をしてる間に獅斗さんがベッド周りの武器などをネチネチ言いながら片していた。

……オカンか?


 場所は変わって獅斗さんと別れ草林冠へと赴いた。翡翠さんも一緒である。連絡していなかったのか周りの獣人の方々がキャーキャーと叫んでいる。予想通り彼らは肉牙冠の方々とは違いフランス人よりの美人顔である。そんなこと考えつつ辺りを見渡していると一人の兎のような愛らしい女性がこちらへ駆け寄ってきた。

 「翡翠さん!読者さん!ここからは僕が案内します!」「嗚呼、よろしくね兎斗」「はぁい!」

 彼女は白髪のボブに赤目が特徴的で兎の耳がピンとたっている。桃色の髪に黄緑色の目を持つ翡翠さんと横に並ぶと色が馴染んでとても似合う。……今気づいたがここでは肉が食べられないのならば鷹は大丈夫なのかと。そんな考えに気づいたのか

 「僕一応、野菜食べれますよ!この仕事についてからですけど……あはは」

「そういやタカは名の通り鷹だからな。無理してないか?」「栄養にはならないっすけどまあ大丈夫っすよ!」「ならいいが……」

 そんな話を聞きもせず目の前の白兎はまるで某時計うさぎのように懐中時計を揺らしながら先頭を短い足で走っていた。予約でもしてるのだろうか?

そんな会話をしてるうちに忙しなく動いていた足を止め、くるりとこちらへ振り返った。

 「ここですよ!ここの野菜は畑から新鮮なのを直で送られてるんです!美味しいですよ〜シャキシャキで、マッシュポテトはほくほくで!」

 そう話す兎斗さんの話を右耳で軽く聞きつつドアを開けた。カランコロンと音が鳴ると同時にひつじの角と耳を持つ店員がトタトタとこちらに近寄り、個室へ案内してくれた。やはり朱鷺國のような和ではなく確実な洋のここは土足であり、國の違いをこんな所でも感じられた。



 そんなこんなでゆったりと会話を交わし飯を食べとしているうちにとうとう日が傾いてきていた。

店を出てアクセサリーを適当に見ていたとき、なあと翡翠さんに声をかけられた

 「ユウちゃんってさ〜そのマガタマ?だっけ…それのついたブレスレットどこで貰ったの?前に行った國?じゃあ物的に朱鷺國かな?」

はいと頷けば「じゃあこの超絶美少女の翡翠ちゃんがそれに合うネックレスを選んであげよう!」と嬉々として奥へと行き何度かこちらへ戻って首に当ててを繰り返すとようやくいいのが見つかったのか走って行きカードでお金を払うとルンルン気分でこちらへ駆け寄った。

 「いいのが見つかったよ!!ほらこの紐に銀色のネームタグ!読者って入れてもらったよ!いいだろう?喜ぶといいよ!」

 そう言われて感謝を伝えると「ふふん!クルシュウナイ!また会おうね!ユウちゃん♡」と今までで一番の愛らしい姿でそう言い浮き足で去って行った


「また貰ったんすねユウ様…まあいいっすけど!」

 そう頬を膨らませ拗ねる鷹に平謝りをしつつご飯美味しかったなと思考を別の方向に移していた。




 「さあ帰りますよ〜!前回と同じように、お身体失礼しまーす!」

 そう言いすっと俵担ぎにされたと思うと急に鷹が焦りだした。下を見れば肉牙冠の方々、特に鳥を食べる人種のようだ。

 「やべぇ食われる!!うわぁ来んな来んな!僕はもう獣人じゃないっす!獣使っす!うわぁぁぁ!すんませんユウ様!ちょっと揺れますよ!!」

そう言うとバタバタと羽を急かすように動かし勢いよく飛んだ。


チラリとしたを見たが彼の羽が数本落ちて行くことと彼らがしょんぼりして去っていくことしか見えなかった

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國物語 檀 宰修 @Zaisyu-8163

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