壮大な無駄

私はどうも、この無駄というものに目がない。
なんならストーリーを進めることよりも重視している。
ストーリーが骨だとすれば、無駄は肉だ。肉か? いや、あえて言おう。肉だ。
そして今作は、その肉が骨に食い込んで支えているのだからたまらない。

兄弟が何やら数学的な問題を解こうとしている。
中学〜高校くらいの平均学力があれば解ける問題である。
そこを疑ってかかる所から、壮大な無駄が始まる。

無駄だから、ストーリーを進めるためには不要なのだ。
けれどその不要の占めるウェイトが大きくなれば、それはもはや不要とは言えない。
反転して無駄の部分が本筋となる。
そしてふと、「一体今、私は何を見せられているのだろう」と我に返った時、笑いが止まらなくなってしまいました。

無駄を経由してきっちり本来のストーリーに戻って来る所も見事としか言いようがない。
これはちょっともう、脱帽です。

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