異世界を越え、もはや『異次元』の境地に達した作品

 予測不能展開。まさにその言葉が似合う作品です。

 主人公は、ある時に異世界へと転移させられる。そこで一人の勇者として、「王様」と対面する。
 まずは試練として「20分以内に城から出ろ」と言われる。

 そうして城からの脱出に挑むのだが、出てくるステージが「ものすごく深い穴の上を雲梯(うんてい)を使って渡る」とか、「『カ〇ジ』のブレイブメンロードか!」というような高所恐怖症にはきっついものとなっています。

 そこは異世界なので、現実世界の理(ことわり)は通用しない。そんな未知のトラップやフィールドを次々とかいくぐっていくことになる。
 そうして、無事に試練を越えられた先に待つ物は……。

 この世界観は、もはや「異世界」というよりも「異次元」なのではないか。
 それだけ、常識の通じない「何か」が起こって行く。

 映画の「CUBE」とか特殊な舞台を題材にした作品が好きな人は、絶対ハマる小説です。ファンタジーな味付けがあるから映画だと凄惨だった部分がマイルドになっており、よりいっそう多くの人の楽しめる仕様となっています。

 果たして、この異質なる世界において、主人公はこの先どうなるのか。そして、この異次元的な異世界を突き詰めた先、どのような地平に辿り着くのか。好奇心を刺激されまくる作品です。

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