第2話
旦那様の隠居生活も二年となった。
元から世後継のいなかった旦那様は弟君に立場をお譲りになった。
しかしこの年、続く熱日のせいで飢饉が起こった。
旦那様の隠居先では芋を作っていた。
「こんな暑い中でもよく育つな」
「これは南の国で育てられていたものですからね。暑さには強いですが寒さにはめっぽう弱いです」
この量なら炊き出しも一ヶ月分になるだろうと旦那様は嬉しそうに言われた。
しかしこの量なら収穫がいくら日があっても足りない。
「ふう、この辺は終わりだな。次は…」
「おーい、ヴァレットの方終わったかー?終わったらこっち手伝ってくれ、旦那様が大量に植えてんだよ」
「お前の旦那様はここだが」
「やっば!おまっ、言えって!」
「ははは、嘘だよ。ほら、ヴァレット行くぞ」
「はい」
「お前も行くぞ」
土だらけの手で握り返して。
ドーリー・ユー 夕凪 倫 @Yu_Ux_xU_nagi
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