【SF短編小説】永遠の証人 ―人類の旅路を見守る少女―（約7,100字）

「私は……証人よ。人類の歩みの証人」
　時の流れを超えて生きる銀髪の少女イオラ。彼女は人類史上の重大な転換点に現れては、その時代を生きる人々と出会い、別れを繰り返してきた。
　アフリカの地で人類が最初に火を手にした夜。メソポタミアで農耕が始まった朝。古代ギリシャで哲学が芽生えた昼下がり。産業革命の煙に包まれた黄昏。核の閃光が世界を変えた真夜中。デジタルの波が押し寄せる夜明け。そして、人類が地球に別れを告げる最後の日。
　永遠の命を持つ少女は、有限の生を生きる人類の愚かさと美しさを見つめ続けてきた。これは人類の物語であり、同時に一人の少女の記憶の物語。
　私たちは、どこから来て、どこへ行くのか――。その答えを求める旅が、今始まる。