いやーー、もう、どのシーンも目が離せない抜群の面白さでした!
顔に醜い火傷の傷を持つ、奴隷のスィーラーン。”傷物”として価値を失いそうな状況であるにも関わらず、師でもあるエステルの作り出した物語に乗っかって、隠さずむしろ武器として使っていく強かさ……。でもその傷の本来の理由もちらちらと垣間見えて、そこに同時に彼女の弱い部分が見え隠れするのだけど、脆い部分を埋めるのは契約夫婦となったバルトロの存在。
後宮の覇権をめぐる人間模様、裏で進む謀略に対する知略と行動力での戦いは目が離せず、緊張がずっと続く中でのバルトロのスィーラーンに対する気遣いに読者も心癒されます。
緊張の緩急バランスは読み応えに繋がっていて、ただの恋愛物では終わらない骨太な世界観とストーリー。
西洋風が流行ってる昨今だと、あまりなじみがないオスマン帝国風ですが、独特の用語のルビは異国情緒を漂わせつつ、作品の難易度を上げるどころか絶妙なエッセンスになっており、この作品からオスマン帝国風が一気に流行るのではないかと思わせるほど。
西洋風、中華風以外の物語をお探しの方はぜひ、こちらの作品に注目していただきたいです。