「誰やねんお前」からの二度読み推奨(いや、必須)
- ★★★ Excellent!!!
歴史上の人物――誰やねんお前レベルのどマイナーな人物から、知らん奴は義務教育やり直せレベルの有名人物まで――にスポットを当てた、短編ときに長編をものしている、歴史好きは即フォロー推奨の四谷氏。氏の近況ノートにて新作予告がされたので、大掃除もそっちのけでPCの前に貼りついて待機していましたが、投下された作品タイトルは「ジューガー・リャンは何をしたかったのか」。
……ジューガー・リャンって誰やねんお前。昔のプロ野球の助っ人外人か? いやなんか中国系っぽい、となると中国史のマイナーな時代の武将か誰かかな? いやいや四谷氏のこと、近代アメリカかどっかで財を成した華僑とかかもしれん。そう思いつつ読み始めました。
対話形式で語られる謎のリャン氏。リャン氏を知る老人から語られるその人物像は、ああ苦労人だったんだな、にしてもこの老人もたいがいだな、などとうなずきながら読んで……読み進めて……でrftgyふじこlp!!(悶絶)
最後まで読み進めてから、もう一度最初から読み直しました。すると、老人の語るリャン氏の行動のひとつひとつが、パズルのピースを嵌めていくように私の知識と符合していきます。ああ、これぞ歴史物を読む快感、これぞ四谷作品の醍醐味!
ある意味叙述トリックとも言えますが、リャン氏の言動、それを語る老人、その語りを聞く聴き手、彼らの考えと行動もまた深い感慨を覚えます。
2024年の掉尾を飾る短編をお探しなら、是非本作を!