こないだの夏の思い出
あかさたなはまやらわんっ!
本編
2024年八月の連日猛暑の中、某女子チームの2024ー2025新体制発表会なるものを見学してきた。私はコンサートに行くのも躊躇するほどこういうものに参加するのは苦手である。だが『限定百名様募集中』という名に心引かれて、ダメもとで応募してみたらなんと当選してしまう。
発表会当日は気温36度超の酷暑。出席するか否か迷った。ただせっかく参加する権利をを与えてくださったのだから、と意を決してJRに乗りこむ。約二時間かけやっとのことで目的地の駅に到着した。
会場は駅から徒歩七分の距離の場所。その地域にある大学キャンパスのテラススペースを借りて行うのだという。
キャンパスの正門に入ると、チームの新ユニホームを身にまとった女子高生と思しきサポーターの方が一人立っていた。
「新体制発表会の参加の方ですか」
と尋ねられたので、私は「はい」と応える。すると、こちらですと会場のテラススペースの方へと案内された。
テラススペースを前にして会場の様子をうかがう。冷房が入っていてとても涼しい。限定百名の参加者が座れるように多数の椅子が用意されている。だが座っているのは二十数名ほど。そのうちの約半分が最前列に陣取り、選手のサインと思しき筆跡の入ったユニフォームを着ていた。
性別はほぼ男性。そのほとんどが中高年。女性は親同伴の女の子を含む三人ほどしか見当たらない。ここで私は自分の立ち位置をやっと自覚した。自分も単なる中高年サッカーオタクの一人なのだと。
それはさておき、新体制発表会がスタート。まずはじめにチーム代表と監督(どちらも男性)が各々あいさつをされる。昨シーズン不甲斐ない結果となってしまったこと。その影響からか来場客数もわずかである点。そこで今シーズンは、選手、スタッフ共に死に物狂いで一つでも順位を上げる決意をチーム代表と監督がおっしゃっていた。
すると数名の女子選手達が壇上に上がって初心のあいさつを行う。はじめにベテランのゴールプレーヤーの女子選手が今シーズンの抱負を述べて最後によろしくお願いしますと話す。が、それに対するサポーターの反応は鈍い。拍手の数もまばら。おっ、ここのサポーターは厳しいなと感じる私。
次にアカデミー出身でフォワードプレーヤーの女子選手のあいさつとなった。私は彼女がしゃべるのを聞いていて一つある点に気づく。彼女の声が少しこもっている感じなのである。そして彼女の耳元に小さな機器があることが長髪から垣間見えた。
だが、話している内容は理路整然としっかりしている。さらに今年の年代別女子ワールドカップに向けて活躍できるよう努力すると述べた後、
「少しでも上に上がれるようにがんばりますので応援よろしくお願いします」
と、言う趣旨の決意を表明した。
するとサポーター全員から割れんばかりの拍手。それが十数秒ほど続く。ああ、彼女は本当にサポーターから愛されているのだと分かる拍手であった。
帰りの電車内で、まだ世の中捨てたもんじゃないな、と浸っていた私である。
追記
少し前の試合でサブメンバーにも登録されていないので、どうしたんだろうと心配していた。すると彼女は別の動画で、雨が降ると機器の調子が悪くなりメンバーの声が聞こえなくなる等の話をされていた。なるほどそういうことだったのか。該当する試合はたしか雨が降っていたような気がするような……。
その後の試合ではサブメンバーでありながら途中出場して得点もされていたのでほっと一安心。
根性論みたいでアレなんですが、雨にも負けず、風にも負けず、ファイトです。頑張ってください。応援しております。
こないだの夏の思い出 あかさたなはまやらわんっ! @kusukusu05
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